ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

シンシア 2014.No.3

ために無料診療活動を行った。これが評判となり、1934(昭和9)年7月に27床を有する東京女子医学専門学校尾久病院の開設へとつながる。開院式典は、当時“城北の名園”とうたわれた一大行楽地「あらかわ遊園」内の本家茶屋という施設で行われた。このように、東医療センターは尾久の地域住民に手をさしのべたことから始まっている。上野惠子病院長は、「スタート当初から地域に根ざしていたということは私たちの誇りであり、“地域に貢献する”という言葉の重みをあらためて深く感じています」という。尾久病院はその後、東京女子医学専門学校第二病院(1936年)、東京女子医科大学附属第二病院(1952年)と改称され、2005(平成17)年から現在の東京女子医科大学東医療センターという名称となった。2007(平成19)年には外来の混雑緩和策として、日暮里駅から至近のビル内に日暮里クリニックをオープン。ここには女性専用外来も設けられている。そして昨年、開設80周年を迎えた。地域の交流イベントをバックアップ東医療センターは、病床数495床、職員数1,100人強、1日の外来患者数約1,300人を数える。その規模は、荒川・足立・葛飾の区東北部医療圏においてトップを誇り、文字どおり地域の中核病院として救命救急センターや地域周産期母子医療センターなどさまざまな機能を発揮している。この3月末には、がん診療への積極的な取り組みが評価されて地域がん診療病院に指定される予定だ。区東北部医療圏は130万人もの人口を抱えているが、病院の数が少なく、人口10万人当たりの病床数は765床で東京都全域の971床(いずれも平成22年実績)を大きく下回っている。一般診療所数や保健医療従事者数についても同様である。また、区東北部にはがん診療連携拠点病院が一つもない。それだけに、東医療センターの果たす役割は極めて大きいといえる。東医療センターは、毎年10月に行われる「宮前わくわくコミュニケーション」という地域イベントを支援している。これは、宮前商店会が地域の活性化と交流促進を目的に3年前から始めたもので、子供たちが楽しめる催しや地元の商店による大売り出しなどで大きな賑わいを見せる。東医療センターは、駐車場をそのメイン会場として提供し、健康診断や栄養相談を行うブースも出展している。このように、東医療センターは地域に密着しながら、高度な医療を担う大学病院としての機能も発揮しつつ“やさしい医療”を提供し、地域に貢献しているのである。ブルーを基調とした5階建ての東病棟。女子医大通りに面した外来棟入口。被ばくを大幅に低減した最新鋭のX線撮影装置。地域周産期母子医療センターとして9床のNICU(新生児集中治療室)を備えている。救命救急センターは24時間体制で重症患者さんを受け入れている。Sincere|No.3-2015 11