ブックタイトルシンシア 2014.No.2
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シンシア 2014.No.2
医療研究最先端できるため、積極的な摘出も可能になる。こうした手術室の一部始終はすべて可視化され、リアルタイム映像として「戦略デスク」に送られる。戦略デスクでは、ベテランの脳外科医が手術に関するあらゆる情報を客観的に把握し、手術室にアドバイスを送るなど手術チームのサポートに当たっている。この戦略デスクこそが“外科医の新しい脳”に相当する。限りなくリスクをゼロに近づけるスマートサイバー手術室術中MRIの導入からスタートしたインテリジェント手術室は、ITの進化形であるスマート化技術も駆使し、次世代手術室「SCOT(Smart Cyber OperatingTheater)」へと進化しつつある。SCOTがめざすのは、手術室で用いるさまざまな医療機器をICT(情報通信技術)で結び、情報の収集・分析・蓄積を通じて手術の標準化を図り、効率的で安全な「未来予測手術システム」を構築することにある。手術では、周到な準備をしても予期せぬ出来事が起こりうる。だが、予期せぬ出来事もデータを集積し分析することで、リスクをミニマム化することは可能だ。手の上下左右の動きだけでモニター画像の切り替えが可能な「Opect」を操作する執刀医。画像確認の手間が省け、手術の効率化を実現。女子医大には、インテリジェント手術室での膨大なデータが集積されている。これらのビッグデータの活用が、次世代手術室の扉を開く鍵となる。例えば、手術工程を分析し、工程ごとの達成目標を定める。同時に、各工程で予測されるリスクを洗い出し、対策を立てる。そして、各工程の目標がクリアされたことを確認しながら次の工程に移る。こうした手術プロセスを、ビッグデータの解析をもとに標準化する。さらに、スマート化技術を搭載した最新の医療機器で“外科医の新しい目と手と脳”を近未来型に進化させる。女子医大は、このようにして安全性を最優先し、リスクを最大限に回避する未来予測手術システム「SCOT」を実現しようとしているのである。スマートサイバー手術室の研究で脳腫瘍手術のさらなる進化をめざしています先端生命医科学研究所教授村垣善浩インテリジェント手術室の普及で、良好な術後生存率とともに、いくつかのアクシデントも防ぐことができました。女子医大は術後5年生存率の単純比較では、世界のトップクラスに入っていると思われます。さらなる改善をめざして、私たちは次世代手術室「SCOT」の研究を進めています。SCOTの先進性を象徴する技術の一つに、先端生命医科学研究所・先端工学外科分野(FATS)が開発した非接触型の画像操作ソフト「Opect」があります。このソフトウェアは、手術中に診断履歴や電子カルテなどを確認する場合、パソコンやモニターに触れることなく、手を上下左右に動かすことで画像の選択や移動ができるというものです。こうしたIT技術の実装により、SCOTは日進月歩の進化を続けています。SCOTがめざすのは、患者さんに低リスクで高効果の治療を提供することです。例えば、超音波を集めて深部の腫瘍を治療する「集束超音波手術」は、“外科医の新しい手”として期待できる治療法です。術中MRIで腫瘍の位置を確認し、超音波を一点に集中照射し患部を焼灼する治療をロボット化し、次世代手術室SCOTで実現したいと考えています。Sincere|No.2-2014 09