睡眠科
診療内容
当科は睡眠障害を専門とする診療科です。
当科の前身は、東京女子医大附属青山病院睡眠総合診療センターで、2010年より睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、ナルコレプシー、突発性過眠症、概日リズム障害などの睡眠障害の検査、診断、治療を行ってまいりました。
睡眠障害は、事故やヒューマンエラーなど社会的問題、うつなどの気分障害、生活習慣病と密接に関係し、総合的、専門的に診断、治療していくことが重要です。当科では、睡眠医療、循環器内科、呼吸器内科、神経精神科の専門医が診療にあたり、院内でも歯科口腔外科、耳鼻咽喉科・頭頚部外科、神経内科など多数の診療科と連携をとりあっています。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、睡眠薬の調整など睡眠に関する悩みがあれば、お気軽にご相談ください。また、高度肥満症を伴う睡眠時無呼吸症候群の方への減量治療も行っております。月曜日~金曜日に初診を受けておりますが、完全予約制になっておりますので、初診・再診ともに当院予約センターまでご連絡ください。睡眠検査入院をご希望の場合も、まず初診外来で拝見します。
睡眠障害の専門医療機関として日本睡眠学会の施設認定を受けています(認定番号A-0104)
対象疾患
睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害
『いびき』が主訴なことが多いですが、『夜間頻尿』もよく認められます。高血圧症、糖尿病などの生活習慣病の増悪因子になるため、『いびき』とあなどってはいけません。
むずむず脚症候群
レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群とも呼ばれます。夕方ごろから夜間、就寝時にかけて、足に「むずむず」「ざわざわ」や、虫が這うような不快感で寝つきが妨げられます。鉄の欠乏も原因となります。
下記の4症状が特徴的です。
- 下肢の不快な異常感覚に伴い、足を動かしたいという強い衝動を感じます。
- 症状は、歩く、下肢を伸ばす、叩く、さするなどの運動によって改善します。
- 不快な感覚は、静かに横になったり座ったりしている状態で現れ、強くなります。
- 症状は、日中より夕方や夜(入眠時)に強くなります。
レム睡眠行動障害
睡眠中に突然、大声の寝言や奇声を発したりします。また、ベッドから転落したり隣で寝ている人を叩いたりすることもあります。 声をかけると比較的容易に覚醒し、夢の内容を明晰に思い出すことも特徴です。
ナルコレプシー
夜間に十分に眠ったとしても、昼間に突然我慢できないほどの強い眠気に襲(おそ)われ、眠ってしまう病気です。
下記の4症状が特徴的です。
- 睡眠発作(突然の強い眠気が食事中・運転中・会話中・仕事中など、通常では考えられないような状況で起こり、眠り込んだ後は通常30分以内には目が覚め、非常に爽快感があります。しかし、しばらくするとまた眠気が襲ってきます。)
- 脱力発作(笑ったり、驚いたりしたときなどに、首や膝の力が抜け、ひどいときには倒れこんでしまいます。)
- 入眠時幻覚(非常に生々しく、時には恐ろしい内容の幻覚を見ます。)
- 睡眠麻痺(金縛りのことで、寝入りばなや目が覚めたときに体に力が入らなくなります。)
特発性過眠症
睡眠時間を十分にとっていても、日中の過度の眠気が生じます。夜間帯の睡眠が長いことが多く、昼間の居眠りも1時間近くありますが、目が覚めたときの爽快感がないことが特徴で、ナルコレプシーの寝起きと異なります。
概日(がいじつ)リズム障害
睡眠-覚醒の時間帯が、社会生活(学校や会社等)での望ましい時間帯からずれてしまうもの。 極端に夜寝る時間が遅く、 朝寝坊になる睡眠相後退症候群が代表的です。看護師、警備などの交代勤務や海外との取引などを行っている方々に多く認められます。
診療実績
令和2年度(2020年) | 令和3年度(2021年) | 令和4年度(2022年) | |
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外来患者数(人) | 6,522 | 6,965 | 6,666 |
内、初診(人) | 343 | 344 | 315 |
内、再診(人) | 6,179 | 6,621 | 6,351 |
入院患者数(人) | 178 | 527 | 486 |
検査、治療
外来での簡易型睡眠時無呼吸検査、入院での終夜睡眠ポリグラフィー検査、睡眠潜時反復検査、 高照度光照射療法を行っております。十分に情報を提供し、その上で適切な検査法や治療法を選んでいただこうと思っています。
- 陽圧呼吸療法
閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、持続陽圧呼吸(CPAP)を、慢性心不全などに伴う補助呼吸が必要な人にはサーボ制御圧感知型人工呼吸器で治療します。 - 口腔内装置
閉塞性睡眠時無呼吸症候群軽症例から中等症例では、歯科口腔外科での口腔内装置による治療をおこないます - 口腔筋機能療法
歯科口腔外科と連携し、口腔内筋力の評価行います。筋力が低下していた場合は、筋力強化の舌筋トレーニングなどを行います。特に高齢者でのCPAP離脱や口腔内装置の中止を目指します。 - 高照度光照射療法
朝、光を浴びることは睡眠と覚醒のリズムを整えること、夜間に良く眠るために重要です。人工的な高照射機器を用いた高照度光療法は、睡眠相後退障害に以前から有効であることが知られています。小児、若年者に対しては、光療法と行動療法の組み合わせが推奨されています。当院では10,000ルクスの高照度光を午前に浴び、規則正しく起床、食事をとり、自分で決めた日課(スマフォ利用時間、TV視聴時間、学習や仕事、PC作業、カフェイン摂取、体操や散歩など)を日課表に記載して実践し、行動変容への動機付けを目指す短期入院を行っています。(週末利用、3泊4日)