脳神経内科
トピックス
診療内容
脳、脊髄、末梢神経、筋肉の病気を対象としています。主な病気として脳卒中、パーキソン病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、認知症、片頭痛などの慢性頭痛、てんかん、末梢神経障害、筋疾患、髄膜炎、脳炎などの診療を幅広く行っています。 また、これら各分野の専門家が診療にあたっています。
当院には脳卒中、認知症、失語症に対する脳機能画像検査・高次脳機能検査や、末梢神経障害・筋疾患に対する電気生理学的検査が充実しています。 急性期脳梗塞に対しては脳神経外科、救命救急センターと協力して血栓溶解療法、血栓回収療法などの治療を行っています。また多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症などの神経免疫疾患に対し、免疫グロブリン療法や血液浄化療法、生物学的製剤などの治療を行っています。 片側顔面痙攣や眼瞼痙攣に対するボツリヌス治療も行っています。
対象疾患
脳血管障害
脳動脈瘤
脳動脈瘤とは、脳動脈の血管壁が風船のように瘤状に膨らむ状態です。脳動脈瘤の多くは、未破裂の状態で発見され無症状です。しかし、破裂すればクモ膜下出血を来しますし、中には徐々に増大して周囲の神経を圧迫することで症状を来すこともあります。
もやもや病
内頚動脈、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈といった脳内の主幹動脈が進行性に閉塞し、脳内の細い血管(穿通枝)が拡張、側副路を形成していく(もやもや血管と呼ばれます)疾患で原因は詳しくはわかっていません。進行していく過程で様々な症状を呈し、頭痛、てんかん、脱力発作、しびれ、失語症などの一過性脳虚血発作、脳梗塞、脳内出血で発症します。小児では難治性頭痛、あるいは一過性脳虚血発作で、成人では出血で発症する例も多く報告されています。近年は高次脳機能障害も注目されています。
閉塞性脳血管障害
閉塞性脳血管障害とは、内頚動脈や中大脳動脈が動脈硬化により閉塞(時に高度狭窄)している状態を指します。閉塞による脳血流低下や、閉塞時の塞栓物質により、脳梗塞を引き起こすことが知られています。
頸動脈狭窄症
頚動脈狭窄症とは、頚動脈に動脈硬化性粥状変化(プラーク)が形成され、局所で細くなっている状態(狭窄)です。狭窄の進行による脳血流低下や、狭窄部からの塞栓物質により、脳梗塞を引き起こすことが知られています。頚動脈狭窄症に対する治療は、第一に脂質異常症改善薬や抗血小板薬を含む内科的治療が選択されます。
脳動静脈奇形(AVM)
脳動静脈奇形(AVM)とは、脳内で動脈と静脈の直接吻合を生じている先天性疾患です。吻合部には異常な血管塊(ナイダス)が認められ、動脈の圧が直接静脈に加わるため、ナイダスが徐々に増大することがあり、ナイダスが増大して破裂すると、クモ膜下出血や脳出血などの出血を起こします。また痙攣発作、精神症状、痴呆症状、頭痛、脳虚血発作、心不全を引き起こすことがあります。
顔面けいれん
顔面けいれんは、人前での緊張、ストレス、疲れ、強い閉眼などの顔面筋の運動などで誘発されやすく、初めのうちはあまり気にならない程度でも、徐々に悪化することがあります。誰にも相談できずに一人で悩んでいることも多く、中には、うつ状態になっている患者さんもいます。
特発性三叉神経痛
顔面の感覚神経である三叉神経の領域に、通常片側に発作性の数秒から数分続く激痛が繰り返して起こるものです。洗顔、髭剃り、歯磨き、咀嚼(そしゃく)などで誘発され、時には冷たい風にあたるだけで痛くなることもあります。痛みは患者本人にしかわからず、他人に理解が得られなくて悩んでいる患者様も多くいるようです。
神経免疫疾患
- 多発性硬化症
- 視神経脊髄炎
- 抗MOG抗体関連疾患
- 免疫性ニューロパチー
- 重症筋無力症
- 血管炎
など
末梢神経疾患
筋疾患
- 筋炎
- 筋ジストロフィー
など
神経変性疾患
- パーキンソン病
- 運動ニューロン疾患
- 脊髄小脳変性症
- アルツハイマー型認知症
など
神経感染症
意識障害
てんかん
慢性頭痛
めまい
診療実績
当科では、藤堂謙一教授が専門としている脳血管障害に特に力をいれていますが、飯嶋睦教授が専門としているパーキンソン病・頭痛・てんかん、清水優子教授が専門としている多発性硬化症・視神経脊髄炎・重症筋無力症などの神経免疫疾患、吉澤浩志准教授が専門としている認知症の診療も精力的に行っています。急性期脳梗塞に対しては脳卒中集中治療室SCUを立ち上げ、脳神経外科、救命救急センターと協力して血栓溶解療法・血栓回収療法などの治療を行っています。
年間500~600名程度の入院があり、その4~5割が脳血管障害の患者さんです。
学生、研修医の先生へ
神経疾患診療は、丁寧な問診から病気を疑い。診察で証拠なる所見をとらえ、進歩の目覚ましい脳画像検査、神経生理検査等で診断を付けるという論理的な展開の中で日常診療を行うやりがいのある領域です。熟練した神経学的診察手技とそれをもとにした診断過程の習熟は、一度身につければ一生の宝になります。打腱器、ペンライト、音叉、爪楊枝を所持していたら、どこでも患者さんを診察し診断の方向性を示すことができます。
神経救急疾患である脳卒中診療、てんかん診療から神経変性疾患、神経免疫疾患、難病疾患まで各個人のスタイルに合わせて診療活動を行うことができ、個人のライフワークとして専門性を持つには非常に適した診療科です。
当教室は設立50周年を迎える伝統のある教室ですが、教室内は自由闊達な雰囲気にあふれ、医局内では中堅・若手の各先生の希望に沿った臨床研修、専門医診察、研究を推進しています。 例年10-20篇の英文論文を執筆し発表しています。
脳卒中急性期で血栓回収療法に取り組みたい先生から、じっくりと神経変性疾患、神経免疫疾患、認知症に取り組もうと思っている先生まで、神経疾患に内科的な側面からアプローチしようという新進気鋭の先生方の参加を心待ちにしています。
当科のメールアドレス:neurology.cw@twmu.ac.jp
当科のホームページ:http://twmu-neurology.jp/
X (旧Twitter):@twmn_neurology