平成27年度 東京女子医科大学病院 病院指標

●「病院情報の公表」 について
 DPCデータ(※)から、厚生労働省が定める集計条件に基づいた指標を作成し、公表を行っています。
 
  ※DPC(診断群分類)とは、「Diagnosis Procedure Combination」の略であり、
   入院される患者さんの診断病名と治療方法の組合せによって決定される分類です。
   その分類に基づいた診療データ全般をDPCデータと呼びます。
 
 ・平成27年度(2015.4.1~2016.3.31)中に、当院を退院した患者さんを集計対象としています。
 ・医科(歯科以外)で保険診療された患者さんが対象で、労災、公害、自賠責、自費での診療データは含まれません。
 ・入院後24時間以内、または生後1週間以内に亡くなられた患者さんは集計対象外です。
 ・臓器移植を受けた患者さん、または提供者(ドナー)の方も集計対象外です。
 ・集計の結果、人数が10人未満となった項目は、数字の代わりに 「-」(ハイフン)を表示しています。
  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1654 787 986 1755 2420 2887 4461 4728 2012 192
●「年齢階級別退院患者数」 について
 退院した患者さんの人数を年齢階級別(10歳刻み)で集計しています。年齢は入院日時点での満年齢です。
 
【解説】
 当院では幅広い年齢層の患者さんに入院医療を提供していますが、特に症状が重くなりやすい60歳以上の患者さんが約半数を占めています。また、10歳未満の患者さんが比較的多い理由として、NICU(新生児集中治療施設)、GCU(回復期病床)を有する新生児診療施設であることや、小児科関連診療科による横断的組織「小児総合医療センター」の開設により、幅広い視点での医療提供に取り組んでいること等が挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
●「診断群分類別患者数等」 について
 診療科別に、診断群分類別患者数等を集計しています(人数の多い順に3つまで)。
 
 「DPCコード」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁のコード(番号)です。
 「DPC名称」 … 「DPCコード」に対応する名称です。診断病名や、治療方法等で構成されています。
 「平均在院日数(自院)」 … 当院で入院していた日数(在院日数)の平均値です
                   (入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります)。
 「平均在院日数(全国)」 … 厚生労働省より公表された、全国のDPC対象病院の平均在院日数です。 
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 40 37.63 36.93 0.00 66.68
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2 2あり 39 40.03 43.59 2.56 60.13
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 36 22.58 17.69 0.00 65.97
 血液内科で扱う血液悪性腫瘍のうち、最も患者数が多いのは悪性リンパ腫で、そのうち90%以上が非ホジキンリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫はさらに40種類以上のタイプに細分化され、タイプおよび進行度により治療法が異なります。治療としては基本的には、抗がん化学療法、または放射線療法、あるいはその両者を実施します。抗がん化学療法は基本的に繰り返し治療を行います。入院期間は平均3週間程度で、治療法によっては入退院を繰り返しながら治療を実施します。多くの場合、初回治療のみ入院で実施し、副作用など問題がなければ、2回目以降は通院で実施します。
 急性白血病は悪性リンパ腫とならぶ代表的な血液悪性腫瘍です。抗がん薬により治療します。また治療は基本的に入退院を繰り返しながら、すべて入院で実施します。
内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 235 5.46 6.55 0.00 54.68
100260xx9910xx 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 77 5.90 7.63 1.30 49.70
100250xx99101x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 32 6.66 10.55 0.00 52.84
 内分泌内科では、高血圧にかかわるホルモンの病気を多く診ています。高血圧にかかわるホルモンの多くは、副腎や下垂体という場所から出ていますので、副腎や下垂体の病気を専門医が短期間のうちに診断し、責任をもって外来診療につなげています。
糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 389 12.30 15.35 1.29 63.17
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 130 11.68 14.30 0.00 44.74
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 45 15.04 13.64 0.00 62.51
 糖尿病・代謝内科で最も多い症例は、2型糖尿病で血糖コントロール目的の入院です。食事療法を基軸として、内服薬やインスリン・GLP-1製剤など、注射薬との併用療法で血糖値をコントロールし、同時に血圧、コレステロール・尿酸値などのコントロールも行います。糖尿病の慢性合併症の評価も行い、症例の状態を適切に把握し、合併症の悪化を予防する治療も行っています。
 2番目の症例は1型糖尿病で血糖コントロール目的の入院です。持続糖濃度測定装置(CGMS)を用いて血糖日内変動を連続的に測定し、変動を考慮したインスリン治療内容を考えております。1型、2型糖尿病どちらも血糖コントロール入院には7日間或いは3日間のクリニカルパス使用に努めており、なるべく短期間で効果を上げるスケジュールを立てています。
 3番目の症例は糖尿病による慢性腎不全の評価・治療目的の入院です。腎不全で透析療法になる前の保存期という状態で、更に腎機能が悪化しないよう血糖コントロールをはじめ、血圧や脂質などのコントロールを行っています。これらの疾患の治療は、平均2週間程度の在院日数で行っています。
糖尿病眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2 なし 重症度等 片眼 61 9.00 8.62 1.64 54.23
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 重症度等 片眼 13 12.69 9.57 0.00 53.69
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 15.35
 糖尿病眼科は、糖尿病網膜症、白内障、血管新生緑内障など、糖尿病眼合併症を専門に治療する、わが国唯一の診療科で、外来・病棟ともに糖尿病・代謝内科と一体となり、特に全身管理を必要とする重症糖尿病患者の眼合併症の治療に取り組んでいます。
 糖尿病網膜症や緑内障に対する治療も、ステロイドや抗VEGF薬を併用する最新の治療法を積極的に取り入れています。網膜光凝固療法においては、パターンスキャンレーザー装置を用いて、より痛みの少なく低侵襲で効果的な方法を用いています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 105 6.76 7.99 0.00 67.06
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 重症度等 片眼 73 7.49 11.08 0.00 55.60
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 32 6.75 7.87 0.00 66.06
 眼科では黄斑疾患診療を得意としており、黄斑前膜や黄斑円孔といった代表的疾患に対する硝子体手術を受けられる患者さんの入院が最も多くなっております。また網膜剥離に対する網膜復位術や、外傷などの緊急手術を要する患者さんも広く受け入れており、迅速な対応を行っています。侵襲性の少ない手術加療を心掛けており、平均在院日数も全国的にみても短い傾向にあるのが特徴です。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 76 9.11 7.94 0.00 48.50
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 45 8.44 7.76 0.00 54.84
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 34 10.12 10.12 0.00 50.50
 耳鼻いんこう科で最も多い症例は、鼻の病気を治療するための入院で、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療のために内視鏡下副鼻腔手術、鼻中隔弯曲症の治療のために内視鏡下の鼻中隔矯正術、アレルギー性鼻炎の治療のために内視鏡下の下甲介手術を行っています。
 2番目の症例は耳の病気を治療するための入院で、慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫・中耳奇形・耳小骨離断の治療のために主に鼓室形成術、他に顔面神経麻療や耳硬化症の治療のために、顔面神経減荷術やアブミ骨手術を行っています。また大唾液腺の腫瘍摘出術や唾石に対するシアルエンドスコープを用いた手術も多く行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 71 10.46 8.97 0.00 64.62
080050xxxxxxxx 湿疹、皮膚炎群 61 14.51 11.08 0.00 36.52
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 53 15.79 11.97 1.89 56.72
 帯状疱疹は健康な方でも発病しますが、高齢者、免疫抑制患者さんなどでしばしば見られます。このような患者さんでは、皮膚症状が軽快した後に後遺症としての神経痛を残すことがあり、入院して十分な管理のもとに治療しています。
 湿疹、皮膚炎群のなかで最も多いのは、成人のアトピー性皮膚炎の悪化例です。外用療法とともに、紫外線を用いた光線療法を行い、軽快したあとの外来での維持療法につなげています。
 急性膿皮症としては、下肢の蜂窩織炎がしばしば見られます。糖尿病を合併している患者さんも多く、適切かつ十分な抗生物質による治療が必要です。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 43 24.77 18.08 30.23 68.28
010060x099000x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 14.28 15.80 3.45 66.00
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 24 25.83 19.87 8.33 60.67
 神経内科で最も多い症例は、脳梗塞急性期、亜急性期の治療、診断のための入院です。超急性期には血栓溶解療法をはじめとした血行再開療法に積極的に取り組んでいます。また倫理委員会審査を経て急性期からの積極的な抗血栓療法を実施しています。MRI、脳血流SPECT検査に加え、脳神経超音波検査、経食道心エコー検査、経頭蓋超音波ドプラ検査、長時間心電図監視検査等を駆使し、正確な脳梗塞病型診断と的確な抗血栓療法を実施し、早期からのリハビリテーションを行っています。
 2番目に多い症例は慢性炎症性脱髄ニューロパチー(CIDP)をはじめとした免疫介在性・炎症性ニューロパチーです。脳脊髄液検査、末梢神経伝導検査、針筋電図などの神経生理検査、必要な場合は末梢神経・筋生検による病理診断を的確に行い、免疫グロブリン大量療法(IVIg)を中心とした治療を行っています。また最近では神経超音波検査、頸部MRI検査による末梢神経の腫脹も評価しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010030xx01x10x 未破裂脳動脈瘤 脳動脈瘤頸部クリッピング等 手術・処置等2 あり 定義副傷病 なし 98 15.24 21.76 1.02 59.44
010070xx97x20x 脳血管障害 手術あり 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 88 16.18 17.38 0.00 50.57
010010xx01x10x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 86 18.06 31.46 5.81 54.15
 当科で最も多い症例は脳動脈瘤治療です。脳動脈瘤とは、脳動脈の血管壁が風船のように瘤状に膨らむ状態です。脳動脈瘤の多くは、未破裂の状態で発見され無症状です。破裂率は部位や大きさによって異なります。治療を検討するのは、①5mm以上の動脈瘤、②5mm未満で、A)症状のある例、B)破裂しやすい部位、C)不整形、などの特徴を有する場合です。当院における脳動脈瘤症例は年間約150〜200例です。そのうち未破裂脳動脈瘤や巨大脳動脈瘤が約80%を占めております。動脈瘤に対する治療法としては、開頭手術と血管内手術が両方選択可能で、動脈瘤の部位や形状、患者さん御本人や御家族の希望に沿って治療方針を決定しています。手術室でのカテーテル治療が可能なハイブリッド手術室を備えており、より安全性の高い治療の選択が可能です。
 2番目の症例は、その他の脳血管障害ですが、脳梗塞の原因となる内頚動脈狭窄・閉塞症および脳血管狭窄症の外科的治療や脳動脈瘤に対するクリッピング術、脳動静脈奇形の摘出術、さらにこれらの疾患への血管内手術を行っております。
 3番目に多い当院での神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術 による最大限の脳腫瘍摘出と最小限の術後神経症状の両立、標準的な放射線化学療法に加え新規治療開発です。近年、神経膠腫に関して、より高い摘出率をめざす方針が標準的になってきています。これは、浸潤性を示す神経膠腫であっても手術によって可能な限り腫瘍細胞の数を減らすことにより、後療法を有利に進めることができ、予後の改善につながるという考え方からきています。手術後は、詳細な腫瘍の種類の診断(病理診断)に加え、腫瘍に生じている様々な遺伝子異常を解析し(遺伝子診断)、それらの結果を総合的な診断して、国内や海外の専門家の間で認められている標準的な放射線・化学療法を施行します。さらに、標準的な治療方法で治療結果(治療開始日から再発までの期間:無増悪再発期間や生存可能な期間:生存期間)が満足できない種類の悪性神経膠腫の場合は、臨床研究や治験などの新規治療法が選択できる体制をとり、幅広いオプションを持つ施設です。その他、手術に必要な検査は、他大学や他医療機関などの所属や場所を問わずに施行しています。その他、聴神経腫瘍や髄膜腫などの成人良性腫瘍治療も数多く手術を行っております。下垂体近傍腫瘍や小児脳腫瘍(術後放射線療法、化学療法)も治療体制が確立されております。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 91 5.71 6.79 0.00 54.08
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2 なし 72 11.10 10.37 0.00 55.25
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 31 10.00 11.63 0.00 55.19
 外科で最も多かった症例は、乳房の内側部と外側部の悪性腫瘍に対しての乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除と脇の下のリンパ節郭清を伴わないもの)になっており、平均して6日ほどで退院されております。2番目に多かった症例は、乳房の内側部と外側部の悪性腫瘍に対しての乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除と脇の下のリンパ節郭清を伴わないもの)になっており、平均して11日ほどで退院されております。1番目と2番目の手術式の違いは、乳房の部分切除と乳房の切除の違いです。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
100020xx01x0xx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等2 なし 85 10.27 9.55 0.00 49.71
100220xx03xxxx 原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術 副甲状腺(上皮小体)摘出術等 52 10.08 8.67 0.00 57.83
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 28 7.00 6.79 0.00 49.54
 乳腺・内分泌外科で最も多かった症例は、甲状腺癌や甲状腺乳頭癌などに対しての甲状腺悪性腫瘍手術(切除・亜全摘)になっており、平均して10日ほどで退院されております。2番目に多かった症例は、原発性副甲状腺機能亢進症に対しての副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(摘出・全摘)になっており、平均して10日ほどで退院されております。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 2.23 3.58 3.85 37.96
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2 なし 19 2.21 3.71 0.00 37.21
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 7.59 7.52 23.53 55.76
 救急科で最も多かった症例は、乳性薬物中毒症となっており、手術は行わず点滴療法と処置療法を行ない、平均して2日ほどで退院されております。2番目に多い症例は、外傷の入院となっており、平均して2日ほどで退院されております。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 49 3.04 3.32 0.00 2.63
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 8.85
060150xx03xx0x 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 定義副傷病 なし 5.56
 精巣は胎生期にお腹に発生し、出生までに徐々に陰嚢まで下降してくる臓器です。その生理的な下降が途中で止まってしまった状態を停留精巣と呼びます。(また、陰嚢まで下降したものの、そこに精巣が固定されず可動性を伴っている状態を遊走精巣と呼びます。)停留精巣の多くは、精巣が陰嚢内に触れないことで気づかれます。停留精巣を放置すると、精巣は正常な働きができず不妊の原因になったり、また成人になってから癌化することも報告されています。治療法は精巣を本来の陰嚢内に固定することです。術式はいくつかの方法があり、陰嚢側からアプローチする方法、鼠径部からアプローチする方法、腹腔鏡を併用する方法などがあります。症例に応じて、適切な方法、適切な治療時期がありますので、いつでも気軽にご相談いただければと思います。
 臍ヘルニアとは、いわゆる「出べそ」と言われる状態です。出生時は、おへその下の筋肉の膜が閉じていないために、お腹の中の腸が脱出してしまう病気です。多くの臍ヘルニアは1歳頃までに自然消退することが多く、治療を必要としないことがしばしばあります。しかし、1~2歳を越えても臍ヘルニアが残っていたり、臍の皮膚が余ってしまった場合は,手術を検討しなければなりません。気になる「出べそ」を認めた場合、いつでも小児外科医にご相談ください。また(この表には含まれていませんが)、鼠径ヘルニアは小児外科で最も多い疾患です。お腹の中に納まっている臓器が鼠径部(足のつけ根)に脱出してしまう病気で、「脱腸」と呼ばれることもあります。脱出する臓器は腸管が多く、女児の場合は卵巣や卵管が脱出することもあります。鼠径ヘルニアは放置しておくと「嵌頓(かんとん)」といって、脱出臓器がもとに戻らない状態になることがあり、これは臓器の血流障害をきたし、腸管や卵巣が壊死してしまう危険な状態です。嵌頓させないためにも、鼠径ヘルニアは診断がついたら、はやめに手術を計画するのが一般的です。残念ながら鼠径ヘルニアには手術以外の治療法はありません。手術は「高位結紮法」といって、突出した腹膜の袋(ヘルニア嚢)をその根元で縛る方法です。傷は1cm程の小さなものです。手術時間は標準的に30分から1時間程度で終わります。また、当科では腹腔鏡による鼠径ヘルニアの手術も行っており、治療法に関してはいつでもご相談下さい。
 急性虫垂炎は右下腹部にある虫垂という臓器に炎症が起こる疾患で、小児の腹痛の原因として頻度の高い病気です。全年齢層に発症しますが、学童期に多く認めます。症状は、腹痛、嘔吐、発熱が三主徴と言われ、特に右下腹部の疼痛は特徴的な所見です。診断には超音波検査や腹部CTなど画像検査を行って虫垂の腫脹を確認するのが一般的です。虫垂炎は進行すると、痛みが腹部全体に広がり重篤な腹膜炎を引き起こすことがあり、早期に治療を開始することが大切です。治療は、手術を行わない保存的治療(内科的治療)と手術を行う外科的治療に大別され、病状に応じて選択します。外科的治療は虫垂切除術という術式になり、当科では侵襲の少ない小さな傷で行える腹腔鏡下虫垂切除術を標準術式としています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 54 29.09 23.32 38.89 68.37
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 39 22.62 27.21 17.95 71.67
160610xx01xxxx 四肢筋腱損傷 靱帯断裂形成手術等 24 7.88 22.19 4.17 64.67
 当科の方針として、整形外科の幅広い疾患全てに対応できるように、各分野の専門医をスタッフに揃えています。その治療は主に手術となり、多種多様な術式が行われています。その中で最も多いのは、脊椎疾患に対する手術です。神経の圧迫を取り除く必要がある方、すベり症など脊椎に不安定性がある方、姿勢に異常がある方に、全身状態に配慮して治療方針を決定しています。また、膝、股、肩、手などの関節の治療も数多く行っています。加齢に伴う関節軟骨のすりへりなどの変性疾患に対しては、人工関節などを使用した治療を行っています。また、スポーツ外傷などによる膝の靭帯損傷に対して靭帯の再建なども行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 67 4.88 5.86 1.49 32.25
050180xx97xx0x 静脈・リンパ管疾患 その他の手術あり 定義副傷病 なし 39 4.13 3.46 0.00 69.10
140260xx01xxxx 胸郭の変形および先天異常 漏斗胸手術 胸骨挙上法によるもの等 38 14.95 11.87 0.00 22.53
 形成外科は、皮膚・皮下の疾患に対する外科で、通常皮膚・皮下腫瘍の摘出術や、潰瘍に対する植皮術などを主に行っている科です。しかし、当院形成外科で最も多い症例は、外傷の中でも顔面損傷のための入院で、顔面骨骨折(主に頬骨骨折、鼻骨骨折など)に対する手術治療を行っています。2番目の症例は、静脈・リンパ管疾患で、主に静脈瘤に対する手術治療を行っています。3番目の症例は、胸郭の変形及び先天異常で、主に漏斗胸に対する手術治療を行っています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 253 3.69 4.87 0.00 67.57
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 227 2.87 3.07 0.00 64.60
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 224 8.42 5.68 0.00 58.08
 循環器内科で最も多かった症例は、狭心症、慢性虚血性心疾患などに対して経皮的冠動脈形成術を行っており、平均して4日ほどで退院されております。2番目に多かった症例は、狭心症、慢性虚血性心疾患などに対する心臓カテーテルの検査入院となっており、平均して3日ほどで退院されております。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 54 24.02 25.69 1.85 66.93
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 52 7.60 8.67 0.00 74.58
050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 34 16.12 16.65 2.94 75.41
 心臓血管外科で最も多かった症例は、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、連合弁膜症、等に対する開心術のための入院です。主な手術は、人工弁置換術・弁形成術であり、同時に中心静脈注射、人工呼吸を行っています。術後3日間程集中治療室に滞在した後、一般病棟に移動し、リハビリテーション、抗凝固療法、術後心機能、弁機能、等の確認検査を施行します。70歳以上の高齢者が過半数を占めており、平均在院日数は24日となっています。
 2番目に多いのは、非破裂性動脈瘤・腸骨動脈瘤の術前における検査入院です。全身のCT検査、核医学検査、呼吸器検査、心臓エコー検査、等を施行し、平均在院日数は7.6日となっています。
 3番目に多いのは、非破裂性動脈瘤・腸骨動脈瘤に対するステントグラフト内装術で、平均在院日数は16日です。
循環器小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 127 5.65 4.52 0.00 20.06
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 59 7.34 5.68 0.00 23.32
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 49 9.06 7.26 0.00 34.71
 先天性心疾患は、出生児の1%に発症する比較的頻度の高い先天的疾患ですが、中でも、ファロー四徴症、完全大血管転位など、新生児期や乳児期に内科的治療や外科的治療が生存に必須になる疾患が多いのが現状です。複合的な心臓形態異常の診断を行い、適切な内科的治療によって、血行動態の修正や心不全の改善を施行するのが、循環器小児科の主要な業務となっています。診断にはエコー、CT、MRIなどを用い、心臓カテーテル法によって、血管の狭窄部位の拡大や閉鎖部位の穿通、余剰血管の閉塞などを行います。
 先天性心疾患では高頻度に不整脈を合併いたします。内服薬が無効の難治性不整脈が少なくなく、また心室頻拍などの致死的不整脈も多いため、突然死する小児患者も存在します。このような状況の中、カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)が非常に効果的にこれらの不整脈を治癒させることができ、しばしば行われている現状です。不整脈を誘発して、原因部位を特定してから焼灼を行うため、施術中の血行動態の変動や急変もあり、麻酔、蘇生担当から、焼灼の機器の操作をサポートするMEまで多くのスタッフによる集学的治療です。
 不整脈に対する治療としては、さまざまな抗不整脈薬の使用や電気的除細動が行われます。多くの患者が長期にわたる薬物治療が通常必要ですが、治療中に血行動態の急変が起こりやすく、致命的な副作用もあるため、初期治療にあたっては入院を要することが多いです。心筋焼灼が有効であった患者でも、その後の不整脈再発を予防するために最終的には薬物治療が必要になることがあります。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 79 4.71 3.29 0.00 69.90
040040xx9904xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 68 16.29 13.38 0.00 70.24
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 45 21.02 14.34 4.44 71.56
 呼吸器内科で最も多い症例は、肺の悪性腫瘍を疑われた患者さんが、気管支鏡検査で診断をつけるための入院です。肺の一部(組織)を採取し、診断(病理学的診断)を行います。治療方針を決めるため、必ず必要な検査です。検査後に、気胸や肺炎などの合併症が起きますと、入院日数が延びることがあります。
 2番目に多い症例は、肺の悪性腫瘍で抗がん剤治療(化学療法)のための入院です。初めての薬を使う場合は必ず入院で治療を行い、副作用の予防と、副作用が出現した場合はその処置を行います。約2~3週程度で副作用は回復し退院となります。
 3番目に多い症例は、肺炎や気管支炎などの呼吸器感染症です。肺炎は日本人の死亡原因として第3位となっています。高齢者が誤嚥を繰り返すことが原因となることも多いです(誤嚥性肺炎)。また高齢者ほど重症になる傾向があります。入院期間は、軽症ですと1週間、重症ですと2週以上となることも多いです。診断は胸部エックス線と血液検査等で行い、抗菌剤による治療を行います。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 142 12.54 13.03 0.70 65.60
040040xx9908xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 8あり 39 10.23 11.62 0.00 58.64
040040xx9907xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 7あり 20 12.85 12.92 0.00 71.45
 呼吸器外科では肺悪性腫瘍に対する手術目的に入院される患者さんが最も多くなっています。内訳で最も多いのは原発性肺がん、次いで転移性肺腫瘍(他臓器のがんの肺への転移)となっています。また肺がんに対する化学療法も行っており、特に近年増加している肺腺がんに対してはベバシズマブ(商品名アバスチン)を使用したレジメンやペメトレキセド(商品名アリムタ)を使用したレジメンを多く行っております。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 64 8.69 9.63 0.00 36.22
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 55 9.73 9.94 0.00 35.89
120140xxxxxxxx 流産 53 1.98 2.34 0.00 34.23
 産科では、分娩を目的とする入院が最も多く(年間600・700例程度)、そのため分娩時に微弱陣痛や児頭骨盤不均衡、回旋異常などが原因で生じる遷延分娩・分娩停止といった分娩の異常への対応が多くなります。また、当科では無痛分娩を取り扱っているため、その頻度は増す傾向にあります。
 その他、当院産科は東京都の中核周産期医療施設として総合周産期センターに指定されているため、地域の産科病院、クリニックから胎児発育不全や胎児奇形、染色体異常の症例が当院へ紹介され、胎児異常を診療する機会が多くあります。胎児からのサインを見逃さないよう管理するため、入院での管理としています。
小児科(新生児)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 105 8.23 6.17 0.00 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 1あり 32 16.09 12.67 0.00 0.00
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 2あり 29 31.21 27.54 0.00 0.00
 NICU(新生児集中治療室)に入院される新生児は、予定日より相当早く出生した、あるいは出生体重がかなり軽かったことが理由になります。そして、NICUでの治療後は自宅に退院することになります。したがって、入院中に十分に家庭で哺育できる程度まで状態が安定することと、体重が増えることが必要になります。そのため、一般的に入院期聞は長くなる傾向があります。上位3位の症例は、いずれも早期産および低出生体重児のために入院しています。そのため、ある程度の入院期間が必要です。しかも、当科でNICUに入院する新生児の特徴は、母体に合併症を持つ頻度が高く、在院期間が全国の他のNICUに比較してさらに長くなる傾向があります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 96 5.91 7.03 1.04 4.91
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 96 8.80 6.31 0.00 3.69
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2 なし 74 8.78 5.72 1.35 3.47
 小児科で最も多い症例は「てんかんを含めたけいれん性疾患」で、主に原因精査と、長時間脳波検査を含めた発作の評価や、薬剤治療抵抗性の患者に対してホルモン療法やケトン食治療等の特殊治療を行っています。
 2番目に「ぜん息」の入院が多く、特に2、3歳の小さな年齢のお子さんの入院が増えています。初めての発作はすこし重症になる傾向がありますので、十分な治療が必要になりますが、大切なのは、発作を起こしていない普段の治療で、外来での丁寧な説明を心がけています。
 3番目に多い症例は、肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎など、呼吸器の感染症で、5歳未満の小さなお子さんが中心です。特に、急性細気管支炎では、呼吸困難が強いことがあり、一定期間酸素吸入が必要になることがあります。神経疾患の患者さんなどでは、食べ物や唾液を誤嚥(食道でなく気管に吸い込んでしまうこと)することにより、重症の肺炎を起こすことがあるので、適切な酸素投与、注意深い抗生物質の選択、十分な治療を要することが多いです。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120050xx99x1xx 絨毛性疾患 手術なし 手術・処置等2 あり 64 5.69 6.48 0.00 35.50
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 57 7.63 6.50 0.00 43.82
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 49 10.57 10.18 0.00 44.02
 5cmを超える卵巣嚢腫は捻転、破裂の可能性なども出てくるため手術を考慮します。将来的に妊娠を希望する場合、一般的に卵巣の腫瘍のみを核出し卵巣の正常部分を温存するように手術をします。捻転により卵巣が壊死している場合や、悪性の可能性が否定できない場合、また40歳以上の女性の場合には腫れている方の卵巣と卵管を全摘することがあります(付属器摘出術)。良性腫瘍の場合、大きさにもよりますが、侵襲の低く社会復帰が早い腹腔鏡下手術が選択されることが多いです。
 子宮筋腫は婦人科で扱う疾患の中で最も頻度の高いもののひとつです。手術療法としては子宮全摘術による根治手術と筋腫核出による保存手術がありますが、それぞれに腹腔鏡または子宮鏡といった内視鏡下手術が適用されます。また手術を希望しない場合には症例によりホルモン療法が選択されることがあります。
 絨毛癌はすべての妊娠(胞状奇胎、正常分娩、死産、流産、子宮外妊娠など)に続発する可能性があり、発生頻度は胞状奇胎100例に1例、正常分娩5万に1例とされています。若年女性に多く、妊孕性温存を希望されることも多いので、手術を行わずに化学療法のみで治療することも多いです。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
06007xxx99x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 64 17.00 10.10 0.00 65.27
060300xx99x00x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 60 12.57 14.14 3.33 62.97
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 56 14.64 11.98 1.79 74.89
 消化器内科で、現在最も多い疾患は、膵臓癌を含む膵臓腫瘍です。近年膵臓癌は増加しており、難治癌の代表癌です。当院においては、積極的にエコー内視鏡などによる組織診断をおこない、外科との相談の上、治療方針を決定し、非手術例に対しては化学療法をおこなっています。
 次に多い疾患は、肝硬変です。C型肝炎を基盤とする場合は抗ウイルス療法を、また進行例では腹水の管理・肝性昏睡の治療をおこなっています。また肝臓移植の適応に関しでも検討しています。
 3番目に多い疾患は、肝・胆道の悪性腫瘍で、主に肝臓癌に対して、肝動脈塞栓術やラジオ波凝固療法などをおこなっています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 143 8.51 11.98 2.10 72.91
06007xxx99x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 74 12.99 10.10 1.35 68.54
060050xx02x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝切除術 部分切除等 手術・処置等2 なし 65 19.09 16.29 0.00 67.28
 消化器外科では悪性疾患に対して外科治療のみならず、様々な治療を行っているのが特徴です。
 最も多い症例は肝・肝内胆管の悪性腫瘍であり、主に肝細胞癌に対する肝動脈塞栓療法を行っています。クリニカルパスも導入し、平均在院日数も8.51日と全国平均より短くなっています。
 次に多い症例としては、膵臓、脾臓の腫瘍であり、初発、再発の膵癌に対して、腫瘍の広がりに応じて全身化学療法や、放射線化学療法を行っています。
 三番目に多い症例は、肝・肝内胆管の悪性腫瘍、特に肝細胞癌、転移性肝癌、胆道癌に対する手術症例です。併存疾患を持つ困難な病態の方が多いのが特徴であり、それに伴い在院日数も19.09日とやや長い傾向にあります。腹腔鏡手術も行っており、手術適応、術式選択についてはカンファレンスを行い、常に安全な手術を心がけています。
リウマチ科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 140 19.84 18.15 0.00 50.06
070470xx02x2xx 関節リウマチ 関節形成手術 肩、股、膝+人工骨頭挿入術 肩、股等 手術・処置等2 2あり 96 21.96 27.49 0.00 63.53
070470xx03x2xx 関節リウマチ 筋肉内異物摘出術等 手術・処置等2 2あり 72 18.11 24.07 4.17 60.65
 リウマチ科で最も多い症例は、ウェジナー肉芽腫、皮膚筋炎、シェグレーン症候群、多発性筋炎、全身性強皮症などの自己免性疾患となっており、平均して20日ほどで退院されております。2番目に多い症例は、関節リウマチ・足関節に対して人工関節置換術を行っており、平均して22日ほどで退院されております。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 183 12.75 13.64 0.55 56.70
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 45 30.02 23.89 2.22 51.56
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 37 12.46 7.47 0.00 39.81
 近年、末期腎不全による透析患者が増加傾向で、医療経済上も大きな問題となっています。そして末期腎不全の予備軍である慢性腎臓病は日本でも1,330万人にものぼるといわれています。慢性腎臓病の末期腎不全への進展抑制のために薬物治療の他生活習慣の改善、食事制限が非常に重要とされています。当科でも慢性腎臓病患者に対する教育入院を積極的に行っており、入院患者の多くを占めています。
 次に、ネフローゼ症候群の診断で入院となる患者も多いです。ネフローゼ症候群に関しては、以前は若年患者が多数を占めていましたが、高齢化に伴い膜性腎症などのネフローゼ症候群が増えています。高齢者のネフローゼ症候群の特徴として寛解までの期間が長いという特徴があります。当科でも平均年齢51.56歳、転院率2.22が示すようにネフローゼ症候群による入院患者の高齢者の割合も増えており、平均在院日数30.02日と延長につながっていると考えられます。
 ついで、慢性糸球体腎炎の疑いで腎生検を目的とした入院が多くあります。合併症予防のため、腎生検後4~7日の入院が日本腎臓学会の腎生検ガイドブック内に記載されており、当院では腎生検後7日までの入院を採用しています。入院中IgA腎症と診断された患者に関しては、病理所見、臨床所見により治療を開始して退院することもあります。
腎臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
180040xx01x1xx 手術・処置等の合併症 内シャント又は外シャント設置術等 手術・処置等2 あり 36 5.67 26.18 13.89 64.58
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 23 7.22 13.64 0.00 50.83
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 21 2.90 7.47 0.00 48.29
 腎臓外科で最も多かった症例は、透析シャント障害に対してバイパス移植術、内シャント設置術や人工透析などを行っており、平均して6日ほどで退院されております。2番目に多い症例は、腎盂腎炎、尿路感染症となっており、平均して7日ほどで退院されております。
腎臓小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 40 14.58 23.89 0.00 10.53
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 31 10.39 13.64 0.00 12.32
110280xx99020x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 20 10.20 9.81 0.00 9.35
 腎臓小児科で最も多い症例は、ネフローゼ症候群の治療のための入院です。難治性ネフローゼ症候群に対しては、重症度に応じてステロイドパルス療法やリツキシマブ治療を行っています。ステロイドを一定期間使用しても蛋白尿が消失しない場合には、血漿交換などを施行する場合もあります。
 2番目に多いのがIgA腎症をはじめとする慢性腎炎の症例です。診断のための腎生検や、IgA腎症に対しては耳鼻科と連携して扁桃摘出+ステロイドパルスの治療も行っています。その他、末期腎不全の症例に対する腎移植を年間12~15例程度行っており、全国から患者さんを紹介していただいています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 108 7.77 12.99 0.00 58.64
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 71 8.24 14.03 0.00 65.86
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 36 5.67 8.02 0.00 72.36
 泌尿器科での腎癌症例数は非常に多く、2015年は約300例となっています。画像検査が十分でない時代は痛み、腹部腫瘤、肉眼的血尿などの症状で見つかる事が多かったのですが、現在、当科で治療を受けられる患者さんの8割近くが症状がなく、検査で腎がんが発見されています。
 前立腺がんの大半は症状がなく、前立腺特異抗原(PSA)という癌のマーカーが使われるようになって、早期に発見される数が増えています。当科では前立腺腫瘍センターにおいて扱われ、手術とともに放射線治療やホルモン治療などが行われています。当科では年間約250人の患者さんが前立腺生検検査を受け、そのうち約100人の患者さんが新たに前立腺がんの診断を受けています。
 膀胱がんは尿をためる袋状の臓器である膀胱の粘膜に発生するがんです。血尿として発見されることが多く、その大半は粘膜内にとどまりますが、進行するとリンパ節や他の臓器に転移します。当科では年間約200例前後の膀胱がんの症例を診断、治療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 88 22 30 37 28 108 1 7
大腸癌 74 57 64 55 20 159 2
乳癌 99 123 33 12 33 1 7
肺癌 38 24 112 180 122 129 1 7
肝癌 20 46 16 11 25 289 2
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
●「初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数」 について
 5大癌と呼ばれる、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の入院治療を行った患者さんの人数を、初発患者はステージ別患者数を、再発患者は総数を集計しています。
 
 「初発」 … 当院で癌と診断された場合や、他の医療機関で癌と診断され当院で初回治療を行った場合を指します。
 「再発」 … 「初発」時の治療完了後、再度治療を行った場合(転移を含む)を指します。
 「ステージ(Stage)」 … 癌の進行度合をⅠ~Ⅳ(1~4)で表したものです(ステージ0もありますが、集計からは除いています)。
    癌の大きさ、リンパ節転移、他の臓器への転移状況を総合的に評価しています。
    Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳと分類され、ステージⅣが最も進行していることを示します。
 「病期分類基準(UICC TNM分類、癌取扱い規約、版数 など)」 … ステージを評価する際の基準です。
    部位にもよりますが、国際的には「UICC TNM分類」、国内では「癌取扱い規約」などが主に使われています。
    「UICC TNM分類」は現在、第7版が最新のものとなります。
 
【解説】
 当院には早期癌から高度進行癌まで、様々なステージの患者さんが受診されます。食道癌、胃癌、大腸癌のような消化管の早期癌に対しての内視鏡治療は、その黎明期から多くの実績がありますが、術後や再発時の化学療法、放射線療法についても、多くの症例を扱っています。女性特有の疾患である乳癌治療においては、経験豊富な女性外科医が多数在籍し、患者さんに対して、女性ならではのきめ細やかな治療を提供しております。肺癌に対しては、患者さんに負担の少ない低侵襲の鏡視下手術を早期から導入し、術後早期からの社会復帰を可能にしましたが、近々にロボット手術の臨床試験も開始いたします。肝臓癌では当院独自の系統的肝切除術を提唱し、その安全性と有効性が認められています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 44 14.98 54.64
重症度 1 46 19.15 74.57
重症度 2 33 24.94 77.61
重症度 3 10 14.60 82.00
重症度 4
重症度 5
不明 15 15.47 65.60
●「成人市中肺炎の重症度別患者数等」 について
 成人(20歳以上)の、市中肺炎患者の人数を、重症度別に集計しています。
 
 「市中肺炎」 … 日常の社会生活を送る中でかかる肺炎のことです。
 「重症度」 … 下記5項目にいくつ該当するかで決定します(3つ該当する場合は、「重症度3」となります)。
    ・男性70歳以上、女性75歳以上
    ・BUN(尿素窒素)21mg/dl以上または脱水あり
    ・SpO2(酸素飽和度) 90%以下(PaO2 60Torr以下)
    ・意識障害あり
    ・収縮期血圧90mmHg以下      (『成人市中肺炎診療ガイドライン』に基づく)
  各項目のうち、1つでも不明なものがあれば、「不明」に分類しています。
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 
【解説】
 いずれの肺炎の重症度分類の項目にも該当しない「重症度0」から、2つの項目に該当する「重症度2」までが、全体の患者さんの9割程度を占めております。その中でも、高齢であることで「重症度1」となることが多く、「重症度2」は高齢であることに加え、血中酸素飽和度90%以下であることが該当して重症度が上がっております。また、重症度が上がるにつれて平均年齢も上がっております。
 治療内容としては、軽症の患者さんの多くは外来での治療を行ない、入院加療を必要としないことがありますが、酸素吸入を必要とする患者さんには入院での加療が必要となります。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 114 26.67 70.11 28.95
その他 30 23.57 66.90 23.33
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 54 11.15 67.89 0.00
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 17 17.35 62.00 5.88
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内
その他 67 14.12 33.70 0.00
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内
その他
●「脳梗塞のICD10別患者数等」 について
 脳梗塞で入院された患者さんを、ICD10別に集計しています。
 
 「ICD10」 … 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」、第10版を指します。
    アルファベット1文字と、2桁以上の数字で構成された、疾病分類コードです。
    「G45$」のように「$」が付いている場合は、「G450」~「G459」が該当することを表します。
 「平均在院日数」 … 入院期間の平均日数です。入院期間が4月1日~4月3日の場合、在院日数は3日となります。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
 
【解説】
 脳梗塞に関連する診断病名で入院する患者さんのうち、「脳梗塞」に分類される症例が5割を占めており、ほとんどが神経内科で治療しています。とくに発症日から3日以内の急性期脳梗塞においては、平均年齢が70歳に達しており、t-PA治療(薬剤を点滴する治療)やリハビリを行い、平均26日程度で退院しています。
 また、次に多い「もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症>」に分類される症例は、平均年齢が33歳となっており、脳神経外科での治療となりますが、内科的な治療として、抗血小板療法(血を「サラサラ」にすること)を中心に行いますが、さらに脳血流の低下や内科的治療にも関わらず症状を認める方には、積極的に外科的治療を行います。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
●「診療科別主要手術別患者数等」 について
 診療科別に、手術件数等を集計しています(人数の多い順に3つまで)。
 一度に複数の手術をされた患者さんについては、主たる手術だけを集計対象にしています。
 
 「Kコード」 … 手術の種類ごとに付けられた識別コードです。『医科診療報酬点数表』に基づいています。
 「平均術前日数」 … 入院日から、手術日の前日までの、平均日数です。
 「平均術後日数」 … 手術日の翌日から、退院日までの、平均日数です。
 「転院率」 … 他の医療機関へ転院した患者さんの割合です。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) 11 32.82 3.73 0.00 54.27
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満)
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上)
 自家末梢血幹細胞移植は、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんに主として実施する治療法です。移植前に末梢血幹細胞採取をおこないます。通常、造血幹細胞の多くは骨髄中に存在し、ごく少数が血液中に存在しています。末梢血幹細胞採取の際には、抗がん薬やG-CSFという白血球を増やすお薬を用いて、骨髄から血液へ幹細胞を動員する操作を行います。幹細胞採取は、献血の際の成分献血と同じような方法で行われます。静脈2か所に注射針をさして、一方から血液を少しずつ採取し、幹細胞を採取する装置の中を通し、採取後にもう一方の静脈から血液を戻すという操作を行います。当院では、年間およそ10~15名の患者さんに末梢血幹細胞採取を行っています。また、悪性リンパ腫などの診断のために、腫れているリンパ節を摘出して調べる、リンパ節生検が行われます。
内分泌内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K171-2 内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術 47 3.81 16.62 0.00 58.30
K754-2 腹腔鏡下副腎摘出術 15 8.13 8.73 0.00 47.87
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他)
 ホルモンの病気は、脳の中の下垂体と呼ばれる場所や、お腹の中の副腎と呼ばれる場所にできた腫瘍が原因となることが多いです。1週間程度以内の入院で手術治療し、良くなっています。
糖尿病・代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 40 7.23 20.13 2.50 63.60
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K2762 網膜光凝固術(その他特殊)
 糖尿病・代謝内科でもっとも多い入院中の手術は、内シャント作成術です。糖尿病の合併症のひとつである糖尿病性腎症により末期腎不全に至ると腎代替療法が必要となります。腎代替療法として血液透析が選択されることがもっとも多く、内シャント作成術は血液透析を施行するために必要な手術です。
 2番目に多い手術は、連続携行式腹膜透析灌流用カテーテル腹腔内留置術です。これも腎代替療法のひとつである腹膜透析を施行するために必要な手術です。内シャント作成術、連続携行式腹膜透析灌流用カテーテル腹腔内留置術ともにクリニカルパス使用に努めており、短期間で効果を挙げるスケジュールを立てています。糖尿病患者では創傷治癒に時間を要するため、抜糸は術後2週間としており、術後日数は2~3週間程度となります。
 3番目に多い手術症例は網膜光凝固術です。糖尿病の合併症である網膜症加療のために施行されます。術後日数は数日から1週間程度です。
糖尿病眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 297 1.46 2.09 0.00 68.89
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 37 1.00 6.05 0.00 56.81
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 14 1.14 7.43 7.14 61.57
 糖尿病の眼合併症は、麦粒腫、角膜症、虹彩炎、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、視神経障害、外眼筋麻痺があり、目のあらゆる部位に発症します。そのなかでも、白内障と網膜症の頻度は高く、治療には手術顕微鏡を使用する繊細な技術を必要とします。眼の透明性を奪う病変を、傷つけることなく除去して視機能を取り戻します。硝子体手術では、最新の照明装置や内視鏡、広角眼底観察システムを用い、生体への侵襲や患者さんへの負担が少ない、25ゲージ・システムを用いた小切開硝子体手術を導入して、より安全で確実な治療を実践しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 566 0.98 1.62 0.00 71.95
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 133 0.87 5.35 0.00 66.54
K275 網膜復位術 22 0.45 4.64 0.00 44.18
 眼科で行われる手術の内訳では、加齢性白内障に対する水晶体再建術が最多であり、日帰り手術も多く施行しております。次に黄斑前膜、黄斑円孔といった代表的黄斑疾患に対する硝子体茎顕微鏡下離断術が多くなっており、網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症などの難治症例に対しても随時対応しています。若年の網膜剥離の患者さんに対しては強膜内陥術を用いた網膜復位術を第一選択としております。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 51 1.04 7.31 0.00 46.94
K319 鼓室形成手術 45 1.11 7.80 0.00 47.18
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 30 0.97 1.57 0.00 57.57
 耳下腺腫瘍摘出術は、耳の下にある唾液をつくる腺の一つである耳下腺にできたできものを取り除く手術です。
 鼓室形成術は、鼓膜と、その奥にある部屋(鼓室)の異常によって起きる難聴に対する手術です。原因となる病気には、慢性化膿性中耳炎、中耳真珠腫、中耳奇形、耳小骨離断、癒着性中耳炎、鼓室硬化症などがあります。
 首には多くのリンパ節があり、くち・のどの炎症や癌で腫れることがあります。リンパ節を摘出し、病理学的に診断します。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 26 1.04 14.96 0.00 69.35
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 18 1.06 4.50 0.00 44.33
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 10 1.00 3.70 0.00 57.50
 皮膚悪性腫瘍としては、悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、ボーエン病などの入院手術を行っています。大型の病変では、取り残しの無いように十分に切除した後に植皮術を行っています。
 皮膚、皮下腫瘍摘出術は、大きさ、部位などの問題から、外来での切除が困難な腫瘍について行っています。その種類はさまざまで、ほくろ、上皮系腫瘍、脂肪腫、血管腫などです。足の裏のほくろは悪性黒色腫との見きわめが大切で、切除した病変を組織検査して正確に診断しています。
神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む)
K386 気管切開術
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 253 4.40 35.60 11.07 48.97
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 100 2.90 13.78 10.00 59.34
K1541 機能的定位脳手術(片側) 72 1.86 6.90 1.39 46.44
 当院での神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術 による最大限の脳腫瘍摘出と最小限の術後神経症状の両立、標準的な放射線化学療法に加え新規治療開発です。近年、神経膠腫に関して、より高い摘出率をめざす方針が標準的になってきています。これは、浸潤性を示す神経膠腫であっても手術によって可能な限り腫瘍細胞の数を減らすことにより、後療法を有利に進めることができ、予後の改善につながるという考え方からきています。
 脳動脈瘤治療の場合、開頭手術では①動脈瘤を金属(チタン)で作られたクリップで閉塞させる「クリッピング術(時にコーティング術を併用)」、②動脈瘤をテフロンの布で覆って破裂を防ぐ「コーティング術(時にクリッピング術に併用)」、③動脈瘤に対するクリッピング術やラッピング術が困難な場合に動脈瘤部にバイパスを作って動脈瘤を血管ごと閉塞してしまう「トラッピング術」があり、当院ではその全てに対応しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 91 1.65 3.07 0.00 54.08
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 69 2.14 8.09 0.00 55.10
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 40 1.08 5.13 0.00 65.03
 外科で最も多かった手術は、乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない))となっており、平均して術後3日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない))となっており、平均して術後8日ほどで退院されております。
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4632 甲状腺悪性腫瘍手術(全摘及び亜全摘) 67 2.34 7.12 0.00 49.16
K4641 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺摘出術) 48 3.02 6.42 0.00 59.31
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 29 2.14 3.90 0.00 50.76
 乳腺・内分泌外科で最も多かった手術は、甲状腺悪性腫瘍手術となっており、平均して術後7日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術となっており、平均して術後6日ほどで退院されております。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K386 気管切開術
K654 内視鏡的消化管止血術
K0482 骨内異物(挿入物を含む)除去術(その他の頭蓋、顔面、肩甲骨、上腕、大腿)
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K836 停留精巣固定術 46 1.00 1.04 0.00 2.65
K6335 鼠径ヘルニア手術 37 1.00 1.00 0.00 2.24
K6333 臍ヘルニア手術 10 1.00 1.30 0.00 1.90
 小児外科で最も多かった手術は、停留精巣固定術となっており、平均して術後1日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、鼠径ヘルニア手術となっており、平均して術後1日ほどで退院されております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 76 2.89 21.41 19.74 71.32
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 40 4.38 24.35 37.50 66.33
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 29 5.72 29.03 27.59 65.59
 脊椎や関節疾患など幅広く行っている手術の中で、人工関節置換術が最も多い手術となっています。軟骨がすり減り、痛みが強い膝、股、肩などの関節を、人工の関節に取り替えます。人工関節の機種は、患者さんの病態や生活様式に合ったものを選択して、臨機応変に対応し、術後、より快適に生活が行えるようにしています。
 脊椎の手術は、大きく分けて、神経の圧迫を取り除く除圧術と、脊椎の不安定性や姿勢の異常を矯正する固定術があります。当科で手術を受ける患者さんは、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、糖尿病、膠原病などの合併症がある方が多い傾向にありますが、加齢により、除圧術だけでは症状改善が得られにくい方が多いため、固定術を併用することが多くなっています。固定術の方法として、スクリューや支柱となるロッドを使用しています。その際、患者さんの骨を移植して、脊椎を癒合し固定します。移植骨を椎間板の位置に置く後方椎体固定や、移植骨を椎弓の後ろ側の横突起周辺に置く後側方固定という方法を、患者さんの病態や全身状態を考慮して実施しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K617-2 大伏在静脈抜去術 42 1.00 2.38 0.00 69.36
K333 鼻骨骨折整復固定術 38 1.08 1.42 0.00 25.34
K4873 漏斗胸手術(胸腔鏡) 38 1.11 12.84 0.00 22.53
 大伏在静脈抜去術は、静脈瘤のための手術です。術後2〜3日で歩行退院するのが通例です。
 鼻骨骨折に対する鼻骨骨折整復固定術は、手術翌日に退院する方もいれば、術後3〜4日後に内固定ガーゼを除去してから退院する方もいます。
 漏斗胸手術は、矯正バー(ペクタスバー)を胸腔鏡を使って、胸骨下に挿入する手術で、手術後10日から2週間の入院が必要となっています。傷は最小限の長さとなるよう心がけています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 167 2.17 3.49 0.60 68.05
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 124 4.39 4.27 0.00 60.83
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 121 0.88 3.57 2.48 67.57
 循環器内科で最も多かった手術は、経皮的冠動脈ステント留置術となっており、平均して術後3日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、経皮的カテーテル心筋焼灼術となっており、平均して術後4日ほどで退院されております。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5551 弁置換術(1弁) 37 6.41 25.81 10.81 68.05
K604-24 植込型補助人工心臓(非拍動流型)(91日目以降) 29 0.00 30.10 0.00 36.52
K5612 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 23 3.57 8.96 4.35 77.00
 心臓血管外科で最も多かった症例は、大動脈弁狭窄症を主に、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症等に対する、単弁置換術のための入院です。術後3日間程集中治療室に滞在した後、一般病棟に移動し、リハビリテーション、抗凝固療法、術後心機能、弁機能、等の確認検査を施行します。70歳以上の高齢者が過半数を占めており、平均在院日数は33日となっています。
 次に多いのは、植込型補助人工心臓(非拍動流型)の術後慢性期(91日目以降)の入院で、術後リハビリテーション、退院前各種トレーニング、合併症(感染症、血栓塞栓症、等)治療(再入院を含む)のための入院です。平均在院日数は約31日です。
 3番目に多いのは、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内装術のための入院です。平均在院日数は14日です。
循環器小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 51 3.73 9.76 0.00 26.31
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 30 2.30 2.47 0.00 26.23
K570-3 経皮的肺動脈形成術 28 3.50 2.57 0.00 11.36
 先天性心疾患では、高頻度に不整脈を合併いたします。内服薬が無効の難治性不整脈が少なくなく、また心室頻拍などの致死的不整脈も多いため、突然死する小児患者も存在します。このような状況の中、カテーテル,心筋焼灼術(アブレーション)が非常に効果的にこれらの不整脈を治癒させることができ、しばしば行われている現状です。不整脈を誘発して、原因部位を特定してから焼灼を行うため、施術中の血行動態の変動や急変もあり、麻酔、蘇生担当から、焼灼の機器の操作をサポートするMEまで多くのスタッフによる集学的治療です。
 心房中隔欠損症は、先天性心疾患の中でも多い疾患であり、心雑音などの症候が軽微で発見されづらいことから、小児から老人に至るまで幅広い年齢層にわたって患者が存在します。従来は開胸手術による修復しか治療の選択肢がありませんでしたが、近年カテーテルによる閉鎖栓をもちいた治療が可能となり、本疾患の標準治療となっています。経食道エコーまたは血管内エコーガイド下に行われ、施行者は専門学会のライセンス取得者に限られています。
 先天性心疾患では、さまざまな血管の狭窄や閉塞を伴うものが多く、特に肺動脈狭窄はもっとも頻度の高い疾患です。単独の肺動脈狭窄症もあれば、両大血管右室起始症など、複合型の心疾患にもしばしば合併して存在します。これらの病態に対してカテーテルによるバルーン拡大術が行われ効果を上げています。狭窄を解除することで、肺血流の不均衡を是正し、右室への圧負荷を軽減することで、心不全の改善や肺の発育の正常化をもたらします。年齢によりますが、多くは全身麻酔下で、複数の術者により、手術同様の厳重な血行動態の観察下に施行されます。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術)
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 47 3.15 10.38 2.13 66.72
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 43 2.53 7.49 0.00 66.37
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 38 2.74 8.24 0.00 62.63
 呼吸器外科では肺悪性腫瘍(原発性肺がん、転移性肺腫瘍)に対する手術目的に入院される患者さんが多く、原発性肺がんに対しては、標準手術である肺葉切除術(胸腔鏡下)を最も多く行っております。それ以外にも転移性肺腫瘍の患者さんや低肺機能の患者さんに対しては、肺機能を温存した縮小手術として、肺部分切除術や肺区域切除術を胸腔鏡下に行っております。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 98 8.96 6.64 0.00 35.28
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 89 8.01 6.38 0.00 34.80
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 44 1.09 0.14 0.00 35.27
 厚生労働省の「平成23年医療施設静態調査」によると、平成23年の帝王切開での出産の割合は19.2%となっています。当院での帝王切開率は40・50%となっており、全国平均より高い傾向にあります。これは、総合周産期センターとしての役割を担うべく、様々な産科合併症、胎児異常を診療する機会が多いためと考えられます。また、大学病院のため診療科は多岐にわたり、母体合併症を有する妊娠を扱うことが多くなることも一因として考えられます。
 頻度は減りますが、帝王切開に次いで多い手術は稽留流産に対して行う流産手術になります。当院では、1泊2日での対応とさせていただいております。
小児科(新生児)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 48 0.00 52.10 6.25 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) 19 0.00 59.11 15.79 0.00
K726 人工肛門造設術
 新生児仮死は、出生時に新生児が呼吸ができない状況で、放置すると新生児の死亡、あるいは重度の脳障害を生ずる危険性のある状態です。そこで、仮死で出生した新生児では、出生後直ちに分娩に立ち会った新生児科医が、新生児の呼吸の補助と、必要に応じて心臓マッサージを行います。そして、全身、とくに脳を循環する血液に酸素を含ませて、死亡、あるいは脳障害の発生を回避します。この出生後の仮死児に対する緊急の処置が新生児仮死蘇生術です。したがって、新生児医療の大変重要な治療法であり、一定の手技の習熟が必要なことから、手術と同様の手技に分類されています。1度と2度の差は、1度がより軽度で、2度がより重症の新生児仮死となります。当科では多くのハイリスク妊婦から多くのハイリスク新生児が出生しますので、新生児仮死蘇生術の頻度が高くなりますが、新生児の予後の改善に確実に繋っています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度)
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー)
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K867 子宮頸部(腟部)切除術 82 1.28 1.09 0.00 41.49
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 59 1.54 5.08 0.00 44.42
K877 子宮全摘術 41 2.17 7.88 0.00 49.20
 子宮頸癌や前癌病変に対して子宮頸部(腔部)切除術が施行されますが、術後約1日で退院となります。子宮附属器腫瘍摘出術は子宮筋腫,卵巣腫瘍,卵巣嚢腫などに対して施行されます。腹腔鏡や開腹手術などにより異なりますが、術後約4~7日で退院となります。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 193 1.26 2.84 0.00 66.59
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 38 3.05 8.92 0.00 74.03
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 37 1.49 7.73 0.00 72.03
 消化器内科の処置で一番多い処置は、内視鏡的結腸ポリープ切除術です。大腸内にできた良性腫瘍を内視鏡を用いて摘出する治療です。入院期間も短期間で、負担も少なくおこなえます。
 次に多い処置が、主に肝臓癌の治療としておこなわれる肝臓動脈塞栓術です。肝臓癌に栄養を供給する肝動脈の末梢を詰めて癌を壊死させる治療です。
 3番目に多い処置は、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術です。多くは、早期胃癌や胃腺腫に対して行われます。以前は外科的に胃切除されていた癌や腺腫を、内視鏡的に切除し、胃を温存できる治療法です。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 142 0.86 4.03 0.00 66.58
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 95 1.28 5.92 0.00 72.94
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 67 2.16 6.09 1.49 58.81
 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術は、大腸ポリープや大腸腺腫に対して内視鏡を用いて切除する方法です。
 血管塞栓術は主に肝細胞癌に対して行います。経動脈的にカテーテルを挿入し、腫瘍に栄養を供給する血管を塞栓することで、抗腫瘍効果を発揮します。これらの治療では、手術以外にも患者さんに応じた治療を提供できる体制となっています。
 腹腔鏡下胆嚢摘出術は、症状のある胆のう結石症や、胆のう炎に行っており、緊急手術にも対応しております。これらの治療はクリニカルパスを用いて、短期間の入院となっています。
リウマチ科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 66 1.58 23.09 0.00 62.86
K110-2 第一足指外反症矯正手術 30 1.10 15.23 0.00 62.27
K0543 骨切り術(鎖骨、膝蓋骨、手、足、指(手、足)その他) 27 1.63 14.44 3.70 61.85
 リウマチ科では主に関節リウマチと変形性関節症の患者さんの手術を行っています。もっとも行っている手術は足趾関節形成術で、保険診療における手術名としては第一足趾外反矯正手術、もしくは骨切り術となります。クリニカルパスによって運用されていて、ほとんどの方は2週間以内に独歩で退院されます。
 次に多く行っている手術が、人工膝関節置換術です。こちらもクリニ力ルパスによって運用されていて、ほとんどの患者さんは3週間以内に独歩もしくはT字杖を使用して退院されます。退院までに手すりを使っての階段昇降が可能になります。
 また、リウマチ患者の上肢の手術も数多く行っています。こちらは1週間以内に退院されることが多く、リハビリは外来で行っていただくことになります。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 58 9.03 21.38 1.72 60.00
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 21 1.00 9.52 0.00 32.43
K6146 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
 慢性腎臓病が末期腎不全に進展した場合、透析の準備として、内シャント設置術を行う必要があります。内シャントは作成後穿刺できるようになるまで、少なくとも2週間を要します。さらに、高齢化に伴い血管の発達に2週間以上を要する症例も増えてきています。また末期腎不全の患者は、体液過剰や高カリウム血症により緊急透析が必要になることも多く見られます。しかし、緊急透析導入が必要な際にカテーテル挿入を行った場合の入院期間の延長、カテーテル挿入による合併症(感染、血栓等)の発生が問題となることがあり、当科では、今後早期に透析導入が予想される末期腎不全の患者さまに前もって、内シャント増設をお勧めしております。また、術後早期のシャント閉塞の可能性もあり、必要に応じて入院での内シャント設置術を行っているため、当科のシャント設置術の患者数が多くなっております。
 また、IgA腎症の患者について当院では、口蓋扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法を標準治療としております。そのため、扁桃腺摘出患者数も多くなっております。
腎臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6146 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 37 1.89 2.81 18.92 65.11
K6072 血管結紮術(その他) 26 4.38 8.15 26.92 64.73
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 21 2.24 3.81 9.52 61.14
 腎臓外科で最も多かった手術は、血管移植術、バイパス移植術となっており、平均して術後3日ほどで退院されております。2番目に多かった手術は、血管結紮術となっており、平均して術後8日ほどで退院されております。
腎臓小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント又は外シャント設置術
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K805 膀胱瘻造設術
 内シャント設置術は末期腎不全の患者さんが血液透析を受けることができるようになるための、血管吻合の手術です。小児を含む若年者の血管吻合術は、術後に血管が縮みやすく、比較的難しいですが、経験を積んだ外科医が施行し、連携診療を行っています。
 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術は、末期腎不全の患者さんが腹膜透析を受けることができるようになるための手術です。内視鏡下に腹腔内に腹膜透析用カテーテルを留置することが多いです。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K773 腎(尿管)悪性腫瘍手術 101 1.93 7.47 1.98 60.70
K843 前立腺悪性腫瘍手術 69 1.67 5.59 0.00 65.87
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 45 1.84 2.71 0.00 72.67
 早期腎癌に対しては、手術支援ロボット、ダヴィンチを用いたロボット支援下腎部分切除術を実施しています。2013年から始めており、その手技は確立されています。また、2016年4月より保険適用となっています。腫瘍の大きさやステージによっては、腹腔鏡下腎摘除術、ないし開腹腎摘除術を行います。転移性腎癌に対しては薬物治療を行っています。
 前立腺癌に対しては、当科では2011年からダヴィンチを導入する事で癌の根治性と機能温存の精度を向上する事が可能となりました。最近では全例ロボット支援手術を行っております。当院において前立腺癌に対してロボット支援前立腺摘除術を行った患者さんの5年生存率(手術後5年の時点で生存している確率)は極めて高くなっています。
 膀胱癌の80%は表在性で転移を起こしにくく、内視鏡的に切除します。しかし追加治療をしないと約60%は再発し再手術が必要となります。進行して癌が膀胱粘膜から筋層にまで広がると全身麻酔でおこなう膀胱全摘術が必要となります。当科では年間180例の内視鏡的切除術と15例前後の膀胱全摘術が行われています。そのほか、膀胱癌には放射線治療や化学治療が施行されています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 42 0.19
180010 敗血症 同一 76 0.35
異なる 96 0.44
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 222 1.01
異なる 25 0.11
●「その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)」 について
 播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、患者さんの人数と発生率を集計しています。
 
 「DPC」 … 診断病名と治療方法の組合せによって決定される、14桁の番号のうち、頭6桁(疾患コード)を抜き出したものです。
 「入院契機(同一、異なる)」 … 入院するきっかけとなった傷病名を「入院の契機となった傷病名」、
    主に治療した傷病名を「医療資源を最も投入した傷病名」といい、
    これら二つの傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。
    「同一」ならば、入院するきっかけとなった傷病を主に治療して退院したことになり、
    「異なる」ならば、入院後に他の傷病が治療の主となったことになります。
 「発生率」 … 全退院患者に対しての発生割合です(各傷病名の件数に対する割合ではありません)。
 
【解説】
 厚生労働省による、平成26年度のDPC対象病院の全国平均発生率は、播種性血管内凝固症候群(0.17%)、敗血症(0.56%)となっており、重篤な主疾患の合併症として発症しているケースが多い傾向があります。当院では、播種性血管内凝固症候群で全国平均を若干上回っておりますが、敗血症では全国平均以下であることがわかります。また、手術・処置等の合併症の発生率はやや高めですが、多くはそれが入院契機の傷病名となっており、すでに入院時に発症していたことになります。
更新履歴
2016/09/30
初版リリース
2016/10/12
診療科別解説を加筆修正
2016/10/25
診療科別集計を修正
2016/11/02
診療科別解説を加筆修正
2016/11/30
診療科別解説を加筆修正