■肺結節のマネージメント:いつ肺癌と判断するか?
- 1. 低ないし中程度の検査前確率(5-60%)を有し、少なくとも8-10 mmの径を有する孤立性肺結節では、
鑑別のためFDG-PETを推奨する。(1B)
- 2. 高度の検査前確率(>60%)を有するか、8-10mm未満の径を有する孤立性肺結節では、
FDG-PETは鑑別のために施行しないことを推奨する。(2C)
- 3. 少なくとも8-10 mmの径を有し、根治的治療の候補患者では、経時的なCTによる観察は、
以下の場合に許容される方法である。(2C)
- a)臨床的な検査前確率が非常に低い(<5%)。
- b)臨床的な検査前確率が低く(<30-40%)かつFDG-PETで集積陰性、或いはダイナミックCTで15HU以上増強されない。
- c)針生検による診断が不能で、かつFDG-PETで集積亢進を認めない。
- d)充分の説明と同意を得た患者が、この非攻撃的なマネージメントを希望する。
- 4. 少なくとも8-10 mmの径を有し、根治的治療の候補患者では、経胸的針生検または気管支鏡は、
以下の場合に許容される方法である。(2C)
- a)臨床的な検査前確率と画像所見が不一致の場合、例えば悪性腫瘍の検査前確率が高くFDG-PETで集積陰性の場合。
- b)特定の内科的治療を行うにあたり良性疾患の診断が必要である。
- c)充分の説明と同意を得た患者が、術前に悪性疾患の確認を希望する、とくに手術合併症の危険性が高い。
一般に、経胸的生検は禁忌でなければ末梢結節に対して第一選択となる。
気管支鏡は気管支透瞭像を認めるか、新しいガイドワイヤー手技に慣れた施設の場合に施行される。
- 5. 少なくとも8-10 mmの径を有し、手術の候補患者では、手術的診断は以下の多くの場合に望ましい。(1C)
- a)臨床的な検査前確率が中ないし高度(>60%)。
- b)FDG-PETで集積陽性
- c)充分の説明と同意を得た患者が、確定的な診断手技を希望する。
■NSCLCの非侵襲的な病期診断
- 1. 臨床病期IAの患者に根治性を期待して治療する場合、
PETにより縦隔および全身のステージングを考慮すべきである。(2C)
- 2. 臨床病期IB-IIIBの患者に根治性を期待して治療する場合、
PETにより縦隔および全身のステージングを考慮すべきである。(1B)
- 3. FDG-PETで縦隔リンパ節に異常を認めた場合、
この部位の生検による確認は原発部位の切除に先立ち必要である。(1B)
- 4. 臨床的に異常を有する患者では、遠隔転移について画像診断が必要である。
部位特異的な症状については、最も適当な方法が選択される。
(例:頭部CT/MRI+全身PETあるいは骨シンチ+腹部CT) (1B)
- 5. 臨床病期IIIAとIIIBの患者では、遠隔転移の評価をルーチンに行うべきである。
(例:頭部CT/MRI+全身PETあるいは骨シンチ+腹部CT) (2C)
- 6. 画像上で遠隔転移を示唆される場合、組織確認あるいは明らかな臨床的、画像上の証拠がなければ、
根治的治療対象から除外すべきでない。 (1B)
■縦隔病期の侵襲的診断
- 1. 明らかな縦隔リンパ節腫大があり遠隔転移が認められない場合、縦隔リンパ節のPET陽性、
陰性にかかわらず、侵襲的方法による確認が推奨される。(1B)
- 2. 明らかな縦隔リンパ節腫大があり遠隔転移が認められない場合、縦隔リンパ節のPET陽性、
陰性にかかわらず、針生検(EUS-NA, TBNA, EBUS-NA, TTNA) が良性の結果であった場合、
縦隔鏡による確認が推奨される。(1C)
- 3. CT上縦隔リンパ節正常で、中枢型肺癌あるいはN1リンパ節腫大を認め、遠隔転移が
認められない場合、縦隔リンパ節のPET陽性、陰性にかかわらず、侵襲的方法によるリンパ節の確認が
推奨される。(1C)
- 4. 臨床病期1の末梢型肺癌で、PETにより縦隔リンパ節陽性で、遠隔転移が認められない場合、
侵襲的ステージングが推奨される。一般的には縦隔鏡が望ましいが、
EUS-NAあるいはEBUS-NAは診断的結果が得られない場合に縦隔鏡で確認できる条件があれば、
許容できる代替方法である。(1C)
- 5. 臨床病期1の末梢型肺癌で、PETにより縦隔リンパ節陰性であれば、
縦隔リンパ節の侵襲的確認は不要である。(1C)
■BAC
- CT上GGOを認める場合、PETはしばしば偽陰性であるので、
追加検査による悪性腫瘍の除外診断が推奨される。(1C)
■SCLCのマネージメント
- 1. SCLCに対するルーチンの病期診断には、以下の方法が含まれる。病歴および理学所見、血液検査、
胸腹CT、頭部MRI またはCT、骨シンチ。(1B)
- 2. PETはSCLCのルチーンの病期診断には推奨されない。(2B)
■治療後肺癌のフォローアップ
- 1. 治療後肺癌患者で適切な運動能力と肺機能を有する場合、病歴、理学所見、胸部X線またはCTは、
2年間は6ヶ月おき、その後は1年おきに行われる。 (1C)
- 2. 治療後肺癌患者の経過観察に、血液検査、PET、喀痰細胞診、腫瘍マーカー、気管支鏡は、
現時点では推奨されない。(2C)
- Diagnosis and Management of Lung Cancer Exective Summary
ACCP Evidence-Based Clinival Practice Guidelines (2nd Edition)
- Michael Alberts, MD, FCCP, Chair
- (Chest 2007; 132:1S-19S)
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