1.概要
一般撮影検査は、主に胸・腹部撮影と骨、関節撮影の2種類です。胸・腹部撮影では心臓や肺、腸管などの臓器の状態をみることができます。 骨、関節撮影では骨折や骨腫瘍などの有無、関節炎やリウマチ疾患などの診断をすることができます。
2.検査機器
フラットパネルという平面検出器(FPD)を使用して最小限の撮影条件で被ばく低減に努めています。
コニカミノルタ | AeroDR PREMIUM」/長尺撮影システムAeroDR OneShot STITCHING |
島津製作所 | RADspeed Pro EDGE package |
3.検査方法
撮影範囲にある衣類、湿布やカイロ、アクセサリー、プラスチック、金属などは画像に影響し、診断時の妨げになります。 患者さんの協力のもとで外しています。着替えが必要な場合は検査着を使用しています。
妊娠の可能性のある患者さんは検査前にスタッフが確認し安全性を高めています。
4.取り組み
各科の医師と撮影法や撮影条件、画質についての情報共有を行い、常に最新の情報を取り入れた検査を行っています。
5.特色
デュアルエナジーサブトラクション dual energy subtraction
デュアルエナジーサブトラクションとは、1回の息止めで高電圧X線(120kV)と低電圧X線(60kV)を2回連続照射し、通常のレントゲン画像に加えて骨を除いた軟部組織画像と骨組織画像の3種類の画像を自動演算処理します。 骨と軟部組織のX線吸収差を利用し、収集画像に最適な係数を掛けて差分(サブトラクション)することで画像を作成します。
胸部単純画像において問題となっていた肋骨などの障害陰影の分離が可能となり、軟部組織画像によって肋骨に隠れた結節陰影を描出したり、 骨組織画像によって石灰化を描出したりすることができます。胸部診断に有用で読影支援に貢献できる機能です。 またスクリーニング精度が向上することから偽陽性に対するCT検査などの精密検査の頻度を下げることが可能となり、被験者の被ばく低減が期待されています。
通常レントゲン画像
骨組織画像
軟部組織画像
動態撮影
一般的に広く知られているX線撮影(胸部・腹部・骨、関節撮影)は静止画ですが、動態撮影はアニメーションと同じ原理で、コマ撮りした画像を連続表示することで動画が得られる撮影のことです。
撮影した動画をもとに画像解析を行うことで、静止画の形態的な情報に加え、定量的な機能情報を得ることができます。
また、CTやMRIが寝た状態で撮影するのに対し、動態撮影は任意の体位で撮影が可能なため、立位や座位にて撮影を行うことにより、日常生活と同様の体勢に近い状態を観察できるというメリットがあります。
通常の胸部撮影のX線撮影装置で、胸部や椎体、顎関節、四肢部などのさまざまな部位に対して撮影することができ、低侵襲・低コストで簡便にX線動画像を得ることができます。
- X線撮影室で撮影可能
- 撮影時間は短時間
- 造影剤不要
- 立位および任意の体位で撮影が可能
胸部の動態撮影では、深呼吸や息を止めている状態のときの肺野内の様子を動画で観察でき、深呼吸時では肺換気能、息止め時では肺血流の様子を観察できます。
血管影や気管、横隔膜の動きを動画で観察することで呼吸機能等の評価につながることが期待されています。
深呼吸の動態撮影(肺機能情報の可視化)
肺換気能評価(呼吸に伴う)
肺血流評価(血管拍動に伴う)
信号値比
横隔膜の動きなど、構造物の動きを数値化しグラフ表示させることが可能です。
間質性肺炎、肺塞栓症、術後経過観察、癒着、浸潤などの疾患に臨床的有用性が認められつつあります。
四肢部の動態撮影では、日常の動作や痛みが出る動作を撮影することで、静止画よりさらに詳細な機能情報を提供することができ、治療前後の評価や術後の予後予測等に役立てることができると期待されています。