チームSTEPPS
チームSTEPPSとは、医療の質と安全を向上させるためのチームワークシステムのこと。この
チームSTEPPSは医学部・看護学部の合同授業として2016年度から導入され、医学部生、看護学部生ともに「チームワークシステム」を学んでいます。
授業内容は、講義、ビデオやグループ討論。
講義では「医療事故の原因は確認不足や判断ミス、スタッフの連携不足などヒューマンエラーによるものが多い」ため、コミュニケーションやリーダーシップなどノンテクニカルスキルの重要性を学びます。そしてこの講義あとは・・・みんなで指相撲!!
これはメンタルモデルを意識させる狙いがあるそうで(メンタルモデルとは、「事実とそれらを取り巻く環境との関連性からつくられる心理的な 状況認識」のこと)、ほとんどの学生は「指相撲は戦いである」と
いうメンタルモデルから、勝ったり負けたりを繰り返す。そのうち、「勝てばよいので協力し合ってやろう」というメンタルモデルを共有することで、お互いに何十回も勝つペアもでてきます。チーム医療では、チーム全員がメンタルモデルを共通化することが大事だということを、授業を通して体感できます。
そして
チームSTEPPSについての説明のあとは、実際の医療現場におけるスタッフのやり取りを収めた2本のビデオをみて、グループ討議、発表。1本は、研修医がドクターに「患者さんが心配です」と訴えたものの、聞く耳を持たなかったためそれ以上いうことができなかったという場面。もう1本は、患者さんの情報をスタッフみんなで共有してドクターに2度確認を促し、「指摘してくれてありがとう」とドクターが笑顔を見せているシーン。
討議では「1本目はドクターが威張っていて研修医が食い下がれなかったが、2本目はみんなで意見をまとめ、説得力を持って2度ドクターに訴えていた」、「1度伝えたことが無視されても、勇気を持ってもう1度伝えることが大切」など、さまざまな意見が飛び交う。この指摘は
“2回チャレンジルール”といわれるもので、
チーム STEPPSにおいて最も重要なポイントとなります。
「チーム医療」では医師のみならず、看護師やいろいろなスタッフが互いに指摘しあえることがとても大切だということを、この合同授業により身につけることができます。
ーチームSTEPPSの授業の狙いと意義ー
「医学部4年生は翌年から臨床実習に、看護学部4年生は臨床現場に入るわけですが、ともに医療安全という意識を持って臨まなければなりません。そこで、チームSTEPPSを授業に取り入れることにしました。医学部・看護学部合同の授業としたのは、“チーム医療なくして医療安全なし”との考えを学生たちにも徹底するためです」
医療安全・危機管理部 加藤多津子部長(衛生学公衆衛生学教室准教授) |
詳しくは
学外広報誌『Sincere10号』をご覧ください