>>プログラム
◆シンポジウム◆
Well-aging−rejuvenation医療の現状
1.ホルモン補充療法で美しく
太田博明(産婦人科)
Anti-agingとはいかないまでもWell-agingのための主たる対応策として,免疫賦活,抗酸化,ホルモン補充があげられる.このうちホルモン補充としてはGHやDHEAなどもあるが,未だaging対策としては議論のあるところである.しかし,閉経後女性を対象とした女性ホルモンの1つである卵胞ホルモン「エストロゲン」の補充に関して,エストロゲンは女性の守護神といわれるくらい,女性としての人生を過ごすためには不可欠なホルモンである.これが閉経以降は,同世代の男性のエストロゲン分泌量よりもなんと2分の1になってしまうのである.このことは女性にとって骨粗鬆症や心血管系イベントをはじめ,少なからぬ各種のdisadvantageをもたらすことになる. そこで,この女性ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)は,体内でエストロゲンをほとんど産生できなくなった閉経後女性に対して極めて合目的であり,健康管理とQOL向上の格好のツールとされ,一世を風靡してきた.ところが2002年のWHI報告により, HRTは各種の効能があるが,HRTの使用法によっては乳癌や血管系リスクの増大が生じることが問題となっている.しかし,HRTの適切な使用は閉経後女性にとって今もなお捨て難いものがあることも事実である. 一方,加齢による皮膚変化としては「皮膚のしみの増加」,「皮膚の乾燥感」,「皮膚の弾性や柔軟性の喪失」などが従来より考えられており,これらは加齢やエストロゲン欠乏によるものとされ,女性にとってのcrisisとなっている.そこで当日は皮膚に焦点を絞り,女性における皮膚の生理機能はエストロゲン環境の変化によってどのように影響するか?そしてHRTで皮膚症状の改善,rejuvenationが期待できるのか?について講演する予定である.
2.スキンケアで美しく
川島 眞(皮膚科)
加齢に伴う皮膚の変化は老徴と呼ばれ,シミ,シワ,たるみ,白髪などが代表である.このような目に見える変化とともに,明らかな変化を感じないのに加齢とともに生じてくるものに皮膚の乾燥がある.皮膚の乾燥は皮膚表面の角層の水分量が減少することに起因する.角層には皮脂,天然保湿因子,角質細胞間脂質の3つが保湿成分として存在している.加齢に伴い,これらすべての保湿成分が減少する.皮膚の乾燥は痒み閾値を低下させ,冬季には特に下肢を中心に痒みが生じる.また小ジワも乾燥が原因である. 加齢とともに保湿剤を使用することが皮膚の乾燥から来るトラブルの予防に重要である.老徴のもう一つの大きな原因は紫外線である.紫外線は急性炎症としての日焼けを生じるとともに,慢性的な蓄積作用の結果,シミ,シワ,たるみを生じる.さらには皮膚癌の原因にもなる.日焼けした肌は確かに魅力的だが,着実に老徴への道を辿っていることは間違いない.本当は小児期からサンスクリーン剤を塗ることにより,紫外線の害を予防することが大切なのだが,幾つになってもまだ遅くはない!
3.美容医療で美しく
根岸 圭(青山女性・自然医療研究所美容医療科)
高齢化社会をむかえて,「美しく健康に年をとる」ことは多くの女性にとって重要な課題となっている.Anti-aging,Well-agingの効果を求め,サプリメントや高機能化粧品の市場は拡大し続けているが,それに迫る勢いで美容皮膚治療のニーズも高まっていると思われる. 我々が日々の診療で強く実感していることに,「肌が美しければ実年齢よりも若々しく見られ,それが自信となり心も明るく輝く」ということがある.この点から,美容皮膚治療はWell-agingの領域で重要な一分野だと考えられる. 多くの患者様が治療を受けるようになった理由に,Well-agingに対する一般的認識の変化に加え,美容皮膚治療の進歩があげられる.従来から行われてきたスキンケアや外用治療などの分野も年々進歩しているが,飛躍的な進歩をしたのは「機器を用いた若返り治療法(non-ablative skin rejuvenation)」である.この治療法の登場により,カサブタや赤み,ガーゼなどで日常生活が制限されることなく,加齢症状を確かに改善させることが可能になった.レーザー,IPL(intense pulse light),赤外線など様々な熱源を用いた機器があり,治療可能な症状は,しみ,しわ,たるみと多岐にわたる. 今回は,機器を用いた治療で肌はどこまで若々しくなるのか,臨床効果や計測機器による測定などの医学的評価に加え,患者様の実際の言葉をまじえ,我々の取り組む美容皮膚治療「肌の若さは心の若さ」について紹介したい.
4.メイクで心も美しく
檜垣祐子(女性生涯健康センター)
緩和ケアチームの看護師は3名である.それぞれは所属部署の協力の下,ペインクリニック医師と薬剤師と共に,各部署からの依頼のあった患者に対応している.
緩和ケアチームの看護師の役割は,@生活を支援する看護師の立場で患者さんが感じている生活上の困りを引き出し,またご家族の思いを確認し,症状緩和に反映させること,A緩和ケアチームの介入が中断しないよう定期的に患者訪問し,症状変化の確認を行い診察の調整を行うこと,B担当看護師が患者対応に困難さを抱えていないか確認し,対応策を検討すると共に必要に応じ,リエゾン医師の介入調整を行うこと,C緩和ケアチーム勉強会やニュースレターの継続,カンファレンスの議事録作成など,チーム活動の維持を図ることである.
今年4月,電子カルテ上に緩和ケアの窓口はできたが,チームのメンバーが在宅医療室・ペインクリニック・リエゾン・消化器病センター・薬剤部・看護部など複数の部署に所属しているため,患者の情報を共有する難しさ,チーム間で連携を図る難しさがある.この連携を図る役割が看護師にあると考えている.少ない看護師で活動を行うためには,各部署の看護師との連携を十分に図っていくこと,そしてチーム活動の維持のためには,一つ一つの継続をコツコツ図ることであると実感している.
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