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◆研究発表◆
放射線被曝環境下・小児全身麻酔下ガンマナイフ治療における遠隔麻酔モニタリングシステムの開発
林 基弘(脳神経外科学)・鎌田ことえ・長田 理・伊関 洋・村垣義浩・尾崎 眞・堀 智勝・川上順子・高倉公朋
[はじめに]ガンマナイフ自動照射システムとしてModel C-APSが開発された.これに伴い非常に精密な放射線治療(0.1mm単位)がロボットシステムにより行えるようになった.しかし,この間患者が長時間にわたって放射線被曝環境下に放置されることとなり,生体情報の監視が不可欠となった.とくに、小児など意思疎通の困難な症例では,治療中の体動を避けるために全身麻酔管理が求められる.そこで我々は,遠隔地から生体情報を監視するとともに麻酔薬投与調節可能な遠隔麻酔管理システムを開発し,放射線被曝環境下における小児全身麻酔下ガンマナイフ治療の臨床現場で有用性と安全性を確認した.
[方法]3〜10歳のガンマナイフ治療3症例に対して,全身麻酔法として全静脈麻酔法を選択し,気管挿管・調節呼吸で管理した.プロポフォール(P)投与にはノートパソコンとシリンジポンプを用い,自作ソフトウエアConGraseTCI(長田)により制御した.CT室ではP投与システムと生体監視モニタを患者近傍に設置して,ガラス窓越しにこれを監視した.MRI室ではP投与システムを隣室に設置し,側壁に設けた穴から延長チューブを介して制御した.ガンマナイフ室ではP投与システムをLANを介して制御した.
[結果]小児全身麻酔下ガンマナイフ治療症例において,いずれの遠隔麻酔管理システムも問題なく動作し,不利な環境の中で安全に全身麻酔を維持することが可能であった.3症例全例で安全かつ十分なガンマナイフ治療が行え,臨床面では非常に有益であった.
[結語]国内ガンマナイフ施設の中でも全身麻酔下治療に対応しているところはまだ非常に少ない.今回のわれわれの臨床研究は当施設のみならず,他施設においても非常にavailabilityの高いシステムであり,今後の汎用そして質の高い治療対応の普遍化に寄与していくものと期待している.
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