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平成17年度 文部科学省 科学技術振興調整費
戦略的研究拠点育成プログラム(スーパーCOE)に
「国際統合医療研究・人材育成拠点の創成」が採択されました。

   
>>概 要 >>実施体制 >>実施内容 詳 細

平成17年度 文部科学省 科学技術振興調整費戦略的研究拠点育成プログラム
「国際統合医療研究・人材育成拠点の創成」の採択について


東京女子医科大学(学長:高倉公朋)が提案する「国際統合医療研究・人材育成拠点の創成」が、平成17年度 文部科学省 科学技術振興調整費戦略的研究拠点育成プログラムに採択されました。

科学技術振興調整費とは、総合科学技術会議の方針に沿って科学技術の振興に必要な重要事項の総合推進調整を行うための経費であり、優れた成果を生み出す研究開発システムを実現するため、組織の長の優れた構想とリーダーシップにより、研究開発機関の組織運営改革を進め、国際的に魅力のある卓越した研究拠点の創出を図るとされ、育成期間は、原則として5年間です。本プログラムは平成13年度に開始され現在10拠点が採択されております。本年度の応募件数は37で本学、東京工業大学、東京大学の3機関が採択されました。

 本学の提案している拠点構想は、これまで我が国の医科学各分野の高度の専門化、独立化による弊害を改めて“人間の健康を総合的に研究する”組織として、超早期診断による病気の予防・根治を目指す研究・人材育成拠点の構築を目指すものです。これからの医科学分野における研究・人材育成は従来の医学分野のみでなく、伝統医療・代替医療なども科学的に評価できるように広い視野で行います。基礎研究を臨床に直結する学問として、臨床データと研究データを正しく照合できるよう、仕様設計の段階よりインターフェイス等に配慮した支援システムである統合医療情報基盤(CIMI: Cyber Integrated Medicine Infrastructure)の構築をいたします。同時に分子マーカー・DNAチップを用いた遺伝子科学をはじめとした応用研究や産業化を推進できる企業との協働組織体制を確立いたします。

 目指すべき拠点では疾患の超早期診断・予防・根治のための新しい統合医科学研究を行います。また、国際的に開かれた自由な研究環境下で人材育成を行えるように、医学研究教育体制への移行を目指します。育成期間中に大学院生40人程度の統合医科学研究者ならびに統合医療コーディネータを育成し、チーム制統合医療育成コースではこの目的を果たすことができる専門家を期間中に総勢約200人育成します。インスティテュート内の人事等、基本的な経営戦略については、この統括責任者直属の経営戦略室で起案、統括責任者主導によりインスティテュート運営会議で検討・決定します。経営戦略は3項目に分かれております。
すなわち、
1.新しい予防・治療・根治に関する研究
2. 統合医療の高度専門知識と先進的研究能力、実務的分析能力を兼ね備える人材である統合医科学研究者 と統合医療コーディネータの育成、
3. 効率的な研究環境の提供:人材は、すべて国際的に公募し、公用語は英語とします。女性研究者を積 極的に登用し、また他大学・他機関、企業の研究者を、年齢を問わず任期付研究者として採用します。 実績評価に基づく、開かれた柔軟な登用と Tenure track制による人材の流動化をはかります。

運営会議は学術部門(5プロジェクト)と人材育成部門(大学院統合医科学分野とチーム制統合医療育成コース)の各リーダー(統合医療コーディネータ又は統合医科学研究者)からなり、各部門が一体となった戦略的運営方針が決定されます。学術部門はプロジェクト1 (基本プロジェクト):疾患の超早期診断・予防・根治を目指して、その基礎情報となる疾患細胞株の遺伝子・タンパクの解析を行います。すなわち、臨床情報より疾患遺伝子を絞り込める4000株の疾患細胞株を保有する本学と世界的に優れた網羅的全ゲノム解析法の技術を有する慶應義塾大学、網羅的タンパク解析法の技術を有する東京大学医科学研究所、動物による疾患遺伝子研究で秀でたテキサス大学、伝統医学の上海第二医科大学の5大学を中心に学際的(大学3、機関3)・国際的(6大学)提携で基本プロジェクトを効率良く推進、この分野の研究を先導します。この成果を臨床にフィードバックさせる4つのプロジェクトの研究により、臨床と研究を包括的に結びつけ、疾患の予防・新しい治療法の開発・根治に関する研究システムを構築し、また、研究と人材育成を含めた全体構想の支援システムであるCIMIを作成します。本学では、研究体制の萌芽となるプロジェクトとして遺伝子解析情報を基に15診療科が協力して臨床・カウンセリング・研究・教育を一体化する包括的遺伝子医療プロジェクトを1998年10月より開始、実績を挙げております。本学のこの成果を基盤に、他大学・機関、企業などより国際的に開かれた人材登用を行うことにより、新しい予防・ 治療・根治に関する研究体制を発展させることができると考えております。

 本構想の完結後は、新しい統合医科学研究所の創立を目標とし、統合医療の臨床・研究・教育の実践拠点として医療・研究機関に人材を供給します。統合医科学研究所は産業界と密接に連携し高度な医療技術の開発を進めます。また、活発なアウトリーチ活動により開かれた研究施設の構築を目指します。この研究所の維持経費は主に、クリニックから得られる収益と研究成果の医療情報を医療関連企業に供給する対価により賄い、自立を目指します。

 本プロジェクトの波及効果
1) 育成された人材は、本インスティテュート内でのチーム制統合医療育成リーダー、大学院の指導者として活動するほか、他大学・他機関で統合医療研究を実践する中核となります。
2) 本インスティテュートは、他の研究機関・企業とも連携し、オープンな体制で統合医療研究を推進し、統合医療に資する高度な商品開発を行う人材の供給拠点としての役割を担います。
3) 統合医療を目指す他の病院組織・研究機関・企業と連携し、より広域的な統合医療体制を国レベルで推進することにより、
a) 疾患の発症予防・根治
b)医療産業の振興
c) 伝統医療、代替医療などの科学的評価の確立と健康関連産業の振興
d) 医学研究教育体制の改革
e) 統合医療による疾患予防率の向上により医療費を大幅に削減して国民の福祉の向上に貢献することが期待されます。

 大学改革への期待と効果
今日の大学医学部の研究は、一般的に、講座制の閉鎖された環境の中で行われており、個々の研究が、外部からの評価、支援を受けずに、独断的に進められている弊害を抱えております。一方、医学の進歩はきわめて急速、かつ極度に専門分化しているため、さまざまな研究成果が、真に人類の福祉の向上に寄与するためには、医学のみならず、理工学、自然科学に加えて、医の倫理も含む人文社会科学的な視野を持つ、科学者からの協力も得て、広い研究協力体制を作る必要があります。 本研究構想を完成させ、本学全体に波及させることにより、今日存在する狭い視野の大学内研究環境を構成している講座制が改革され、他大学、企業との広い連携、さらに国際的協力も重視した、広く社会に開かれた新しい医学研究の体制が構築され、社会に大きく貢献することが期待されます。

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