大細胞癌
定義:細胞学的にも、形態学的にも、免疫組織化学的にも小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌の特徴を有さない未分化な非小細胞癌。大細胞癌は腫瘍全体を観察することにより診断することができる。従って、生検や細胞診では大細胞癌と診断することができない。
大細胞癌と診断するためには、免疫染色を行う必要があります。
- 腺腔形成や粘液産生を認めなくても、TTF-1(+), Napsin A(+), mucin(+), p40(-), p63(-), CK5/6(-)ならば、充実型腺癌と診断します。
- 角化、細胞間橋を認めなくても、TTF-1(-), Napsin A(-), mucin(-), p40(+), p63(+), CK5/6(+)ならば、非角化型扁平上皮癌と診断します。
第3版では大細胞癌の特殊型とされた以下の癌はそれぞれ別の組織型に移動あるいは削除しました。
- 大細胞神経内分泌癌は神経内分泌腫瘍へ
- 類基底細胞癌は扁平上皮癌へ
- リンパ上皮腫様癌はその他・分類不能癌へ
- 淡明細胞癌は削除
- ラブドイド形質を伴う大細胞癌は削除
従って、大細胞癌と診断できるのは以下の3通りだけです。
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Large cell carcinoma with null immunohistochemical features(免疫染色の結果が陰性)
- Large cell carcinoma with unclear immunohistochemical features(免疫染色の結果に一貫性がない)
- Large cell carcinoma with no additional stains(免疫染色が未施行)
大細胞癌(免疫染色の結果に一貫性がない)を以下に示します。
腫瘍細胞は大型で好酸性の細胞質を有し、特定の配列を示さずに充実性に増殖をしています。多数の核分裂像を認めます。Alcian blue-PAS染色は陰性です。肺腺癌のマーカーであるTTF-1が陽性ですが、扁平上皮癌のマーカーであるp40も同じ胞巣内の細胞が陽性です。扁平上皮癌のマーカーであるCK5/6, desmocollin 3も陽性です。この症例は更に、神経内分泌マーカーであるCD56も陽性でした。
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第13回千葉肺癌カンファレンス 指定演題 (2015.7.10 於千葉) より
東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科 廣島健三