東京女子医科大学

内分泌外科紹介


内分泌外科とは甲状腺、副甲状腺、副腎、膵島などホルモンを産生する臓器や、乳腺、唾 液腺、頚部、縦隔などに発生する腫瘍性の病変を主として取扱い、腫瘍以外にもホルモン の産生に異常のある疾患の診断と治療を行っている診療科です.1981年に開設され、世界 的にも類を見ない専門外科として、上記の疾患の診断と治療にあたっています.国際内分 泌外科学会、アジア内分泌外科学会、日本内分泌外科学会などの学会の中心メンバーとし て、研究面でも活動しています.以下に内分泌外科で専門として扱っている疾患と、その 特徴を挙げます.

甲状腺

バセドウ病:
甲状腺が腫大して動悸、頻脈、体重減少などをきたし、 ときに眼球突出を伴う疾患です.薬物治療が原則ですが、治りにくい時や副作用のある 場合は手術や放射線治療を行います.
甲状腺腫瘍:
甲状腺腫瘍は良性と悪性があり、とくに悪性腫瘍(がん)は5種類にわけられ、 それぞれ性質が異なり、治療法も異なるので、がんというだけでなく正確な診断が 必要となります.良性の結節には原則として手術はしませんが、 がんと区別の難しい例は手術適応としています.
 甲状腺炎:
甲状腺におこる炎症は急性、亜急性、慢性など原因と症状が異なる3種類があり、 ホルモンのレベルも変化します. 治療法も異なりますので専門医の受診が必要です.

副甲状腺

副甲状腺機能亢進症:
副甲状腺に腫瘍ができてホルモンを過剰に産生するため、高カルシウム血症となり、 尿路結石症や骨軟化症などを起こします.症状が無く、高カルシウム血症を示すのみの 場合も治療の対象です.慢性腎不全で透析をうけている方では副甲状腺の過形成により、 同様のことが起ります.病変は時に縦隔に存在します.腫瘤が小さく、 部位診断の難しい疾患です.
副腎:
いずれの疾患も、治療は内視鏡手術が基本です.
クッシング症候群:
副腎皮質の腫瘍からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、顔面や体幹の 肥満、赤ら顔、皮下出血、高血圧、糖尿病などをきたします.脳下垂体の病気に よっても起こります.
原発性アルドステロン症:
アルドステロンというホルモンの過剰によって、高血圧、低カリウム血症、 筋肉の脱力などが起こります.大部分は良性腫瘍が原因です.
 褐色細胞腫:
治りにくい動揺性の高血圧が主体で、強い頭痛、頻脈や冷や汗の発作、 糖尿病などを特徴とします.副腎髄質のホルモンであるアドレナリンなどが、 腫瘍から分泌されることによっておこります.ときに家族性に発生したり、 副腎以外の部位にも発生します.
 偶発的に発見された副腎腫瘍:
健康診断や腹部疾患の検査で偶然に副腎に腫瘍が発見される例が増えています. 腫瘍の性質を正確に診断し、治療が必要か否かを判断することが極めて大切です.

膵臓

インシュリノーマ:
空腹になると特徴的な低血糖発作(冷や汗、動悸がおこったり、意識が障害される) を起こします.膵臓の腫瘍からインシュリンが過剰に分泌されることが原因です.
ガストリノーマ:
胃や十二指腸に潰瘍が多発する病気です.やはり、膵臓の腫瘍が原因です.
乳がん:
乳房におこる腫瘍です.病気の進行度によって治療方法がことなります. センチネルノードバイオプシー(見張りリンパ節の試切)を行って、 合理的な治療法を追求しています.またQuality of Life を大切にした治療を 心がけています.
その他:
頚部、縦隔に発生する腫瘍の診断と治療を行っています. できるかぎり内視鏡手術の適応としています. すべての疾患を通じて、診断と治療においては侵襲が少なくまた機能を保存するよう 努め、内視鏡手術を広汎に適用しています.診断のための検査は外来で行い、 入院期間を短くするよう努めています.
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