「市場ニーズと技術シーズの マッチング」
【開催報告】 未来医学研究会 事務局 福田栄子
2020年11月26日、マンスリーセミナーVol.11が開催された。今回は本会副会長であり、BMC24期修了生でもある齋藤吉毅先生(オリンパス株式会社執行役員、科学技術事業担当)にご講演いただいた。齋藤先生は機関誌「未来医学」No.33にも「これからの未来医学研究会について」をご寄稿下さっており(http://twins.twmu.ac.jp/SFM/journal/archives/217)、未来医学研究会の活動活性化にいつもお力添えいただいている。
日本をコロナの第3波が襲う中、回を重ねるオンラインセミナーも定着した感があり、参加人数は今回も50名を超えた。今回のセミナーの事前参加登録された方々の内訳はBMC2,10,12,28,29,30,33,37,40,41,42,45,46,47,48,49,50,51期と現役BMC受講生の参加および賛助会員の皆様であった。
セミナーは「イノベーション」の言葉の理解から始まったが、1949年から開始したオリンパスの内視鏡開発については、エンジニア側の医学知識不足・対する医師側の技術的知識不足により、手探りの開発は苦闘の連続であったという歴史、故障と修理に追われ改良技術開発が出来ないというジレンマ、事業規模も小さく赤字が10年続くという内容に、まさにNHKの「プロジェクトX」が目の前で展開されているように感じた。
この努力のもとに世界唯一の内視鏡事業先発メーカーとしての地位を確立し、その後も次々と技術革新を取り入れ、いくつものイノベーションを起こしながらも利益が大きく出ていたわけではない。なぜ、その事業を継続できたか、その理由は、医師と企業の双方が、医療・医学の発展に貢献したい、また、貢献できるという確信と情熱があったから。患者の病原を早く発見し低侵襲で治療したい、と技術者も先生方も切に願い情熱をもって取り組んできた、それが成功の要因である、という齋藤先生の力強い確信は、参加者それぞれの心に強い感慨をもたらしたのでは無いだろうか。
また、そういった経験がオリンパスとしてのDNAとなり、かつ、門外不出でなく、社会貢献の為にノウハウを社会に還元したいと風土を生み、今回のご講演でもかなり率直な内容を展開いただけた旨、特に参加者からの質問では、道を拓いてきた先輩としてのノウハウを惜しみなく伝授してくださり、BMCの縦つながりの貴重さを感じたものである。
ご講演が終わった後も、ZOOMから退出し難い余韻を感じた。BMC修了生や現役受講生が縦のつながりを強めていき、未来医学研究会が更に活動を盛り上げていけることを確信した夜であった。
アンケートにも様々なご意見をいただき、次回以降も更に多くの方のご参加を頂けるよう、工夫を凝らしてゆきたいと考えております。