「個人情報保護法制」
【開催報告】 未来医学研究会 幹事 関谷佐智子
事の発端はBMCのカリキュラム生の名簿整理に纏わる清水会長の個人情報に関する疑問からだったような気がする。COVID-19のパンデミックなど微塵も考えてなかった2019年11月、参加者十数名のTWInsイノベーション会議室で開催した第4回マンスリーセミナー(教えてセンパイシリーズ)において「個人情報保護法」の医療情報に関わる規制の課題と医療現場での活用における課題が持ち上がり、より深く理解したいとの声から今回の増田先生の講演にまで発展した。まさに、今回のマンスリーセミナーの議題は会員ファーストな提案だったかと思われる。
緊急事態宣言が一ヶ月前に解除され、徐々に日常が戻る人、新しい生活様式にシフトし、慣れてきた人など混在する6月25日(木)18:30からZoomによるweb会議システムでマンスリーセミナーが開催された。前回からのオンライン講義形式は、参加者の増大に大変寄与しており、今回の参加者はBMC1、12、21、27、31、32、33、37、41、42、43、45、47、48、50、51期のカリキュラム修了生、現役生、また賛助会員の参加で40名を超える盛況ぶりだった。少々弱い通信状況の自宅から、清水会長のMCが入り、50期BMC修了生でもある増田先生の講演は、始まった。増田先生の錚々たる肩書に相反してとても親しみやすい和やかな語り口に思わず引き込まれていった。法律?個人情報?といった状況でこの講演の理解ができるだろうかと正直、戦々恐々としていたが、わかりやすい資料と、簡潔な説明などが非常にスムーズに耳へ入ってきて、不思議と理解できた気になった(筆者自身は気になっただけだと思う)。
まず個人情報保護法の規制が法律、施行、ガイドライン、自主規制団体、社内規制といった階層的になっていること、民間と公的機関での違い、その中に医療情報が含まれることを簡潔に説明された。そして医療情報のルール、医学研究や企業活動に関するルールと「次世代医療基盤法」について紹介があった。この次世代医療基盤法は医療情報を匿名化する事業者が認定され、匿名化したデータを企業が使用可能になるというものではあるが、現在の法制度の課題として個人の同意ベースでの利用の限界があること、運用が不統一であること、専門家が少ないことなどが挙げられていた。こういった課題克服のために新しい法律「医療情報基本法」の立法を目指す動きもあるという。今後このような情報を取り巻くレギュレーションがどう変化するのかは注意する必要がありそうだ。質疑応答の時間では各々の現場で抱える疑問などが修了生からでるなど非常に活発な質問が飛び交っていた。やはり、企業における共通の問題だということが認識された。増田先生でも今回は勉強されて講演したと述べていたが、コンセンサスのある答えをだすのが難しい課題だと感じられ、質問も多数あったが、時間も差し迫ったところで本セミナーは終了した。
増田先生、ありがとうございました。次回は7月末開催予定ですが、まだ講演内容は未定です。ぜひ会員からの活発な提案をお待ちしております。