活動報告

先端医療イニシアチブ活動

先端医療イニシアティブ活動報告~代表団訪中レポート~

代表団訪中に関して

未来医学研究会
会長 岡野光夫

 世界の医療が大きく動く中で、老人化が急速に進む我が国にとって21世紀医療を牽引する先進医療は緊急かつ重要な国家戦略課題となっています。日本のテクノロジーが世界の患者の救済に大きな貢献を果たすべく未来医学研究会をグローバル視点から発展させていくべく理事会での活動が開始されています。森清一副会長をリーダーに安田章夫理事がサブリーダーとなり、先端医療イニシアティブが未来医学研究会の中で活動をスタートさせていることは既に報告した通りです。
平成23年9月、中国を訪問し大学と大学病院を見て率直に思うことは、もう中国はハード面では完全に日本に追いついたということです。病院の建物、手術室どれも昔の中国をイメージできないくらい近代化しています。一方、研究については、建物は素晴らしくなっていますが、ソフト面についてはまだまだのように思われました。研究者とプロジェクトのソフトの中身が革新するには時間がかかりそうに思いますが、我々が考えているよりも圧倒的に早くにキャッチアップするのは間違いないでしょう。
私の友人のミシガン大薬学部教授Victor Yangが天津大学に新しいラボを作ったのは4~5年前のことでした。そのときに見た北京、天津とはまるで異なる雰囲気があり、中国の近代化は目に見える形で大きく進んでいます。Yang教授が天津医科大学の薬学部長となったこともあり、学会に私を招待してくれたこともあり、天津に数日間滞在しました。人々はニコニコと明るく、今日よりも明日は必ず良くなることを信じて活き活きと生きている様子は、日本の人達とは異なるものでした。天津大学のキャンパスはきわめて広大、東大キャンパスよりも何倍も大きいものです。また、天津医科大学も立派なキャンパスを作り、近代的なビルを作って教育・研究に力を注いでいます。
天津医科大学が1200名の医学生(毎年200名の医師を作る)をかかえる一方、1420名(毎年260名程度の医師を作って自国に戻している)の留学生を医師とし、医師不足のアジアの各国に医療基盤の医師作りから支援し、感謝される貢献をしていることは驚きです。我が国は医師不足でも医師過剰を危惧して医学生の定員の見直しにきわめて消極的であることを考え合わせると、1億2千万人の日本人の医療を担当するだけが医師の仕事なのか考えさせられてしまいます。世界の患者を救う日本人医師がどんどん出てくることは日本人が世界から尊敬され、永く世界から大切にされる民族であることになると思われます。産業界の優れたテクノロジーを医療に応用、発展させる領域はリスクばかりが議論され、それを促進させない安易な道を選択し続けてきた日本の厚生労働省、またそれに対し真摯な対決、議論をしてこなかったアカデミアと産業界に大きな反省をうながしています。日本では、行政、アカデミア、産業界が緊密な連携と患者のための政治と既成に基づき、21世紀の先端医療に取り組むべきだと思っています。
既に案内を出しているように未来医学研究会は約30名の訪問団(団長大和雅之、副団長安田章夫)を中国に送ります。これを可能にすべく、森清一副会長の多大なるご支援とご尽力のあったことをここに記して謝意を表したいと思います。
未来は私たちが作るのであって、私たちが未来を変革することができます。患者のためにテクノロジーを大きく発展させ、21世紀の先端医療を実現していくのは、私たち、未来医学研究会の志ある仲間達であるに違いないと信じています。

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