お知らせ
2018年06月29日 血液検査でANCA血管炎の再発が予測可能に!
血液検査で ANCA 血管炎の再発が予測可能に!
~MPO-ANCA の陽転に着目して~
~MPO-ANCA の陽転に着目して~
◆ポイント
・細い血管を傷つけるANCA関連血管炎が高齢者を中心に増加しています。
・同疾患の治療中に、血液中の特定の酵素タンパク質に対する自己抗体MPO-ANCAが陽性になった患者は、
陰性のままの患者に比べ再発が多く認められました。
・血液検査によるMPO-ANCAの定期的な測定が、ANCA関連血管炎患者の予後改善につながる可能性があり
ます。
◆発表内容
<現状>
ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibodies:抗好中球細胞質抗体)は細菌などから身を守る好中球を標的とする異常免疫物質で、全身に張り巡らされた細い血管を傷害し、ANCA関連血管炎という自己免疫病を引き起こすと考えられています。具体的には発熱などの全身症状や腎臓、肺、脳や皮膚などあらゆる臓器の出血や梗塞(血管のつまり)を引き起こして、腎不全など多臓器不全の原因となります。治療に反応しない場合は死に至ることもあります。ANCA関連血管炎には顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が含まれますが、いずれも難病に指定されており、これら3つの病気による医療費受給者証交付数は、2016年度には合わせて1万件を超えています。近年疾患が認知されてきたこともあって患者数が急速に増えており、診断やより良い治療法の確立が強く望まれています。
<研究成果の内容>
ANCAの中でも、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質、ミエロペルオキダーゼ(myeloperoxidase 、MPO)に対する自己抗体MPO-ANCAは特に日本人に多く認められますが、医療機関において血液検査で測定できます。今回、渡辺助教と佐田准教授、東京女子医科大学医学部の針谷特任教授らは、厚生労働省の難治性血管炎に関する調査研究班が2009年から2015年にかけて調査した477人のANCA関連血管炎患者のデータから、MPO-ANCAが陽性の血管炎患者を抽出し解析しました。
MPO-ANCAは治療開始後、活動性が落ち着いていくと約 割の患者で測定できなくなりますが、その後薬を減らしていくと約3割の患者でまたMPO-ANCAが陽性に転じます。このMPO-ANCAが陽転すると、陰性のままの患者と比較して約26倍、血管炎の再発が多いことが明らかになりました。
<社会的な意義>
本研究成果は、MPO-ANCAの定期的な測定によって、血管炎の再発を予測し患者の生命予後や生活の質の改善に繋がる可能性を明らかにしました。今後ANCAを指標にした治療など新たな治療法開発への展開・確立が期待されます。
PDFはこちら>>
・細い血管を傷つけるANCA関連血管炎が高齢者を中心に増加しています。
・同疾患の治療中に、血液中の特定の酵素タンパク質に対する自己抗体MPO-ANCAが陽性になった患者は、
陰性のままの患者に比べ再発が多く認められました。
・血液検査によるMPO-ANCAの定期的な測定が、ANCA関連血管炎患者の予後改善につながる可能性があり
ます。
好中球(白血球の一種)を標的とする異常免疫物質ANCAが引き起こすANC 関連血管炎は、細い血管を傷つけ、多臓器不全を引き起こすこともある難病で、高齢者を中心に増加しています。 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の渡辺晴樹助教と佐田憲映准教授、東京女子医科大学医学部の針谷正祥特任教授らは、このANCA関連血管炎の予後改善において、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質ミエロペルオキダーゼ(myeloperoxidase、MPO)に対する自己抗体MPO-ANCAを測定することの重要性を明らかにしました。 MPO-ANCAは医療機関において血液検査で測定でき、本研究ではANCA関連血管炎の経過中にMPO-ANCA が陽性になる患者は、陰性のままの患者に比べて約26倍、病気の再発が多いことが明らかになりました。 本研究成果は5月22日、米国リウマチ学会の機関紙「Arthritis & Rheumatology」のOriginal Articleとして掲載され、Wiley のニュースweb(Wiley’s Research Headlines)でも紹介されました。 本研究成果は、MPO-ANCAの定期的な測定によってANCA 関連血管炎の再発が予測できることを示唆するものであり、患者の生命予後や生活の質の改善に役立つ可能性が期待されます。 |
◆発表内容
<現状>
ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibodies:抗好中球細胞質抗体)は細菌などから身を守る好中球を標的とする異常免疫物質で、全身に張り巡らされた細い血管を傷害し、ANCA関連血管炎という自己免疫病を引き起こすと考えられています。具体的には発熱などの全身症状や腎臓、肺、脳や皮膚などあらゆる臓器の出血や梗塞(血管のつまり)を引き起こして、腎不全など多臓器不全の原因となります。治療に反応しない場合は死に至ることもあります。ANCA関連血管炎には顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が含まれますが、いずれも難病に指定されており、これら3つの病気による医療費受給者証交付数は、2016年度には合わせて1万件を超えています。近年疾患が認知されてきたこともあって患者数が急速に増えており、診断やより良い治療法の確立が強く望まれています。
<研究成果の内容>
ANCAの中でも、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質、ミエロペルオキダーゼ(myeloperoxidase 、MPO)に対する自己抗体MPO-ANCAは特に日本人に多く認められますが、医療機関において血液検査で測定できます。今回、渡辺助教と佐田准教授、東京女子医科大学医学部の針谷特任教授らは、厚生労働省の難治性血管炎に関する調査研究班が2009年から2015年にかけて調査した477人のANCA関連血管炎患者のデータから、MPO-ANCAが陽性の血管炎患者を抽出し解析しました。
MPO-ANCAは治療開始後、活動性が落ち着いていくと約 割の患者で測定できなくなりますが、その後薬を減らしていくと約3割の患者でまたMPO-ANCAが陽性に転じます。このMPO-ANCAが陽転すると、陰性のままの患者と比較して約26倍、血管炎の再発が多いことが明らかになりました。
<社会的な意義>
本研究成果は、MPO-ANCAの定期的な測定によって、血管炎の再発を予測し患者の生命予後や生活の質の改善に繋がる可能性を明らかにしました。今後ANCAを指標にした治療など新たな治療法開発への展開・確立が期待されます。
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