乾癬とは、皮膚に赤みとその上に厚い鱗屑(がさがさした厚い角質)ができる慢性の皮膚疾患です。皮膚症状は、頭部、四肢とくに肘や膝などの擦れる部位、背中や腰などの体幹部に主に出てきますが、時に体全体にも皮疹が及ぶことがあります。爪の変形や関節の痛みを伴う場合もあります。
乾癬の原因として、遺伝的素因やストレス、食生活などを含めた環境因子など様々な要因が複合して生じるとされていますが、未だはっきりは分かっていません。
人目につく赤い皮疹について悩んでいる患者さんが沢山いらっしゃいます。一人一人について、悪化させる要因はないかお話しを伺います。その上でその方に適した治療を組み合わせて行っていきます。
掌蹠膿疱症とは、掌蹠(手のひらと足の裏)に膿疱が多発する慢性の皮膚疾患です。原因としては、喫煙や歯性病巣(歯周病や歯の根元の病巣)、副鼻腔炎、扁桃炎などの細菌が関与することが多いですが、原因ははっきりとは分かっていません。
日常生活でよく使う手のひらと足の裏に症状が出るため、悩んでいる方が多くいらっしゃいます。上記の原因について調べていき、原因がある場合はそれらの治療を行います。ステロイド、活性化ビタミンD3、ステロイドと活性化ビタミンD3の合剤を使用することもあります。
アトピー性皮膚炎は慢性に経過しかゆみを伴う皮膚疾患です。治療は日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに基づき、炎症期のステロイド剤、免疫抑制剤の外用、抗ヒスタミン剤の内服による治療を中心とし、重症例では紫外線療法(narrow-band UVB)や免疫抑制薬の内服加療などを併用します。中重症例では入院をしていただき、治療を行うのみではなく、患者さんがアトピー性皮膚炎について理解を深められるような教育指導を行っています。
また十分な外用療法により軽快が見られない難治例では、生物学的製剤などを用いた治療を行っています。患者さんはそれぞれ個別の増悪因子をお持ちのため、皮膚症状の悪化時にはその増悪因子の検索を行い対処法を検討しています。
人間関係、進路葛藤などの心理・社会的ストレスが皮膚症状の悪化に強く関与していることがあります。その場合には心身医療科と連携して診察を行っています。患者さんのライフスタイルに合ったスキンケアや日常生活での注意点も提案しています。
膠原病は自己免疫疾患ともいい、免疫機構のバランスが崩れて、自分の体の成分に対する抗体(自己抗体)を作って組織を攻撃するために、種々の症状がでる疾患です。膠原病には、エリテマトーデス、皮膚筋炎、全身性強皮症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、ベーチェット病などの疾患が含まれています。これらは経過中に皮膚症状を伴うことが多く、診断に重要な症状にもなります。また、膠原病の中には、同一疾患でも皮膚症状を主体とする軽症例から、全身の臓器障害をきたす重症例、その中間型など、様々な段階の患者さんがみられることがあるため、皮膚科に最初に受診されることもしばしばです。当院には膠原病リウマチセンターをはじめとして、腎臓内科、呼吸器内科、神経内科などがあり、多くの膠原病患者さんが受診されます。当科では、午前中の一般外来の中で、皮膚症状をもつ膠原病患者さんのご紹介をお受けしております。
皮膚症状が主体の場合については当科で治療を行い、全身症状が重い場合には、他科と連携して診療しています。
蕁麻疹は赤い斑点と虫刺されに似た盛り上がった皮膚症状が出没し、強いかゆみを伴うのを特徴とします。一つ一つの症状は、数時間で跡形もなく消退します。蕁麻疹はだいたい1週間位で治る急性蕁麻疹と、1ヶ月以上、時に数年にわたって出没を繰り返す慢性蕁麻疹に分かれます。蕁麻疹では原因不明のことがほとんどですが、わかっている誘発因子としては掻破、圧迫、温熱、寒冷、日光、発汗、食物、アスピリンなどの薬剤の摂取、植物、ラテックスの接触、細菌感染症などがあります。
蕁麻疹外来では、患者さんのお話から誘因をさぐり、それを確認するために、一般の血液検査の他、プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テストや誘発テストなどを施行しています。
例えば、プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テストでは、皮膚の一部を軽く刺したり、ひっかいて抗原エキスをのせる、もしくは皮内にエキスを注射して、反応がでるかどうかを調べます (写真右:エビのエキスを用いた皮内テスト陽性反応)。誘発テストでは、寒冷や紫外線刺激を与えたり、食物や薬を摂取して症状がでるかを調べることもあります。
蕁麻疹の治療ですが、まずは、誘発因子が明らかな場合はそれを避けることで軽快します。誘発因子がわからない場合で、数週から数ヶ月に一度程度しか蕁麻疹が出現しない時には、症状の程度に応じて抗ヒスタミン剤を時々内服して頂く治療でコントロール可能です。一方で、毎日ないしほぼ毎日出現するような時には、抗ヒスタミン剤を毎日内服して頂き、症状がおさまらないようなら薬剤の変更や増量、他の治療薬の併用を検討します。難治例には抗IgE抗体療法の導入も行っています。また、症状が落ち着いても3ヶ月以上の内服の継続が望ましいことが分かってきているため、専門外来での診察、指導終了後も引き続き一般外来で定期的な診察を行っています。
当科で施行可能なレーザーはQスイッチアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーの2種類で、それぞれ次のような特徴があります。
※ | 尚、当科では血管腫などの「赤あざ」のレーザー治療は行っておりません。必要に応じて当院形成外科などにご紹介しております。 |
本来、細菌やウイルスの感染などから自分を守るための免疫が、皮膚や粘膜を構成する成分を傷害してしまい、水疱やびらんを生じる自己免疫性水疱症(天疱瘡・類天疱瘡など)の患者さんの診察を行う外来です。治療はステロイドの内服が中心となり、症状によっては入院が必要になります。
指定難病の認定が受けられる場合があるので、担当医にご相談ください。
患者さんの状況に合わせた診療を心がけておりますので、病気についての疑問や心配なことがあれば、遠慮なく担当医にご相談ください。