整形外科学分野
概要
整形外科学分野では、運動器の疾患を取り扱い、その運動器の病態の解明や新しい治療法の開発を目指しています。運動器とは、脊椎および脊髄や体幹と四肢における個体の形態と運動に関与する全ての器官のことを指し、その病態は多様で疾患の種類も非常に多いのが特徴です。
1924(大正13)年開設の歴史ある分野であり、近年では1991年~伊藤達雄教授、2007年~加藤義治教授を経て、2017年4月に岡崎 賢教授を迎えました。膝関節、脊椎脊髄、股関節、肩関節、手肘関節、腫瘍、足外科など多岐にわたる整形外科診療に当たり、また研究・教育にも熱心に取り組んでいます。さらに2019年5月には、当院膠原病リウマチ痛風センター整形外科と統合し、リウマチ疾患の手術症例にも多く携わるようになりました。
教育内容
学生講義および学生実習
各専門分野のグループスタッフが講義を担当します。
病棟における実習では各グループに振り分けられ、毎朝のカンファレンス出席や手術見学、病棟回診に加え、担当患者を受け持ちレポート作成やプレゼンテーションを行ってもらいます。
初期臨床研修医
選択科目の一つとして、後期臨床研修医を含めた各グループスタッフと共に診療活動に当たります。整形外科診療を通した臨床的な教育を実施しています。
後期臨床研修医
日本整形外科学会の研修プログラムの基、整形外科専門医取得を第一の目標とし、大学病院および関連施設での高度かつ十分な研修を行います。詳細は当科ホームページを参照してください。
研究内容
・関節リウマチ患者における足部足関節機能障害評価方法と、保存的ならびに手術的治療における成績不良因子の後向き研究
・股関節障害を有する患者における保存的ならびに手術的治療成績不良因子の後ろ向き研究
・膝関節障害を有する患者における保存的ならびに手術的治療成績不良因子の後ろ向き研究
・外側進入型人工足関節置換術の術後成績に関する前向き観察研究
・外側進入型人工足関節置換術の術後成績に関する後ろ向き観察研究
・右足関節の整形外科手術が術後の運転動作に及ぼす影響の検討(国内共同研究)
・関節リウマチの手指変形に対する中手指節関節の人工関節置換術におけるスワンソンおよびアバンタシリコンインプラントの術後成績に関するランダム化前向き研究
・関節リウマチ患者における上肢機能障害評価方法と保存的ならびに手術的治療における成績不良因子の検討
・関節リウマチの疾患関連遺伝子解析(国際共同研究、国内共同研究)
・2種類のショートステムのX線変化の比較研究―Fitmore vs Minimaー
・スタンダードステムとショートステムを用いた人工股関節置換術の比較研究
・Dual mobility cupを使用し、脱臼制動性を高めた人工股関節置換術の成績に関する観察研究
・大腿骨頭壊死に対する人工股関節置換術における脱臼制動の試み
・Anterolateral supine MIS approachで施行した人工股関節置換術の習熟曲線
・脛骨高位骨切り術後のPROMSの評価:骨形態に着目して
・3Dテンプレートを用いた人工膝関節置換術後の膝蓋大腿関節overstuffingに関するシミュレーション
・人工膝関節置換術後の患者満足度予想スコアの追試
・脛骨高位骨切り術におけるロッキングプレート遠位スクリュー固定方法の違いが骨切りヒンジ部の応力分布に与える影響
・Medial stabilizing gap technique人工膝関節全置換術における術中Gapbalanceと関連因子の検討
・Kinematic alignment人工膝関節全置換術に対するasymmetrical designedimplantの有用性
・高位脛骨骨切り術における術前変形と術後臨床成績の関連
・大腿骨遠位骨切り術における有限要素解析法を用いた研究
・自己組織を犠牲としない生体由来組織を用いた靭帯再建用グラフトの開発
・高位脛骨骨切り術中の神経血管損傷予防の新規医療デバイスの開発
・人工膝関節置換術前後の膝蓋腱の変化(MRIでの評価)
・モバイルCS人工膝関節全置換術の非置換膝蓋骨アライメントの比較
・人工膝関節置換術後の膝周囲の痺れの調査
・内側開大脛骨高位骨切り術後のForgotten joint score-12での評価の妥当性の検証
・LCS人工膝関節で大腿骨部品の回旋を自由かつ正確に調整可能な新規医療デバイスの開発と評価
・人工膝関節全置換術後のForgotten joint score-12に影響する因子
・軟骨細胞シートの製品化に向けた製品評価
・続発性骨粗鬆症に対する薬剤治療の効果
・複数の骨粗鬆症薬治療薬使用による治療効果の変異
・O-arm下S2alar Iliac screwの精度の検討
・O-arm下胸腰椎椎弓根スクリューの精度の検討
・環軸関節亜脱臼に対するC-arm下とO-arm下のMagerl法の成績比較
・O-arm下下位頸椎椎弓根スクリューの精度と精度向上のための工夫
・O-arm下頸胸椎移行部の椎弓根スクリューの精度の検討(C-armとの比較)
・透析頸椎症の手術成績の検討
・透析患者脊椎手術の合併症の検討
・腎移植患者の脊椎手術成績
・上位頸椎疾患に対するトモシンセシスの有用性
・腎移植、透析患者におけるロモソツマブの有効性、安全性の検討
・MRI PETRA撮影を用いた関節包の描出と五十肩の臨床像との比較検討
・ウエアラブルデバイスを用いた肩関節運動の定量的計測
・リバース型人工肩関節置換術の臨床成績
・関節鏡下腱板修復術の中長期臨床成績
・透析患者のばね指に対するストレッチの有用性の検討
・エコーを用いたばね指に対するストレッチの原理解明
・MRIを用いた透析患者の腱断面積と手根管症候群の関連性
・月状骨窩の掌側小骨片を伴う橈骨遠位端骨折の治療成績の検討
・尺骨鉤状突起骨折に対するハンドプレートを用いた観血的整復固定術の成績に関する検討
・新生児を対象とした発育性股関節形成不全に対する超音波画像診断装置を用いたUniversal screening
スタッフ紹介
- 教授・基幹分野長
-
岡崎 賢
- 専門領域
- 膝関節疾患
- 教授(炎症性関節疾患外科部門)
-
猪狩 勝則
- 専門領域
- リウマチ関節外科
- 准教授(炎症性関節疾患外科部門)
-
矢野 紘一郎
- 専門領域
- 整形外科
リウマチ
足の外科
- 講師(炎症性関節疾患外科部門)
-
冨永 絢子
- 専門領域
- 骨粗鬆症
足の外科
大学院
医学研究科外科系専攻整形外科学分野ホームページ
国内有数の症例数を誇る透析脊椎症例を含んだ、豊富な脊椎症例での臨床研究、人工関節だけでなく近年のトピックであるAround Knee Osteotomy(AKO)といった骨切り症例を用いた膝関節疾患に対する患者立脚型アウトカムも含めた臨床研究、3Dソフトを用いた画像解析やバイオメカニクス研究を実施しています。さらに、国内有数のリウマチ症例数を誇るIORRAコホートを用いた臨床研究を行っています。
また、大型動物を用いた新しい前十字靱帯再建材料の研究を、東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(TWIns)で行っています。
国内外の留学も推奨しており、現在ボストンにあるハーバード大学で軟骨再生の研究に従事している若手もいます。