医学部

卒業生のコメント

国際環境熱帯医学 櫻井美樹


ウガンダ実験

「お医者さん」というと、多くの方は体調を崩したときに病院の診察室で出会う、白衣を着て聴診器を持っている人を想像されるのではないでしょうか。私もそうでした。しかし、現在の私が日々していることは、子供のころの私が想像した「お医者さん」とは随分違います。
私が所属する研究室は「基礎医学」「社会医学」として分類されており、国際保健や熱帯感染症に関する研究をしています。医師として国外で患者さんの診察をするのではなく、公衆衛生分野で医療政策のアドバイスや、熱帯感染症の基礎研究、感染症・母子保健分野の疫学研究、保健人材育成等に取り組んでいます。


バヌアツ調査

私自身についてお話しますと、医学部を目指すことになった原点は開発途上国にありました。アフリカや東南アジアに行ってみたい、そこで暮らす人々のことを知りたい、という中学生のシンプルな好奇心がきっかけでした。ただし、大学入学当時は漠然と「医師になって途上国の人の役に立ちたい」と思っているだけで、積極的には動いていませんでした。それが具体化されたのが、医学部6年時の途上国での熱帯医学実習(選択実習)です。現在の所属教室の先生方のご指導の下、約1ヶ月間、マラリアという熱帯病の調査に参加しました。以前からモニタリングしている村を定期的に訪問し、村民の血液を採取してマラリア感染率を調べたり、日本に持ち帰って遺伝子解析をしたりするのですが、そのサンプリングの手伝いをさせていただきました。短期間でしたので研究の細部にまでは関わることはできませんでしたが、現地の人々と寝食を共にしながら、不自由な環境の中で調査を継続する意義を考え、難しさ、楽しさを体験する機会となりました。それが縁でその後の調査にも誘っていただきました。その時の衝撃や感動は深く私の心に残り、卒後医師として病院で働くようになっても、いつかは途上国へ、というモチベーションを維持する原動力になりました。


フィリピン調査

本学では私の学生時代に比べるとさらに多くの学生が欧米やアジアの大学病院で交換留学生として実習する機会が増えています。私は5年時の英国、6年時の熱帯医学実習に参加し、世界には様々な文化、風習、考え方があることを身をもって経験し、それは自分の将来像を具体化する助けとなりました。またそのためにこれからの自分が何をすべきなのか、というヒントも得ることができました。これから本学へ入学される方、そして在校生には本学で得られる様々なチャンスを有意義に活用して、将来に役立ててほしいと思います。

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