膠原病リウマチ内科学分野
概要
膠原病リウマチ内科学分野は1982(昭和57)年にリウマチ性疾患を専門とする医療機関として開設された附属膠原病リウマチ痛風センターをその前身とし、2018年5月に医学部の講座として新たに設置されました。
初代御巫清允教授、第2代柏崎禎男教授、第3代鎌谷直之教授、第4代山中 寿教授に続き、令和元年から第5代目の教授・基幹分野長に針谷正祥が就任しました。
当分野では
①安全で良質な診療
②魅力的な卒前・卒後教育
③先端的な研究
を三本柱として掲げ、これらを融合させることによって、優れた成果を生み出すことを目指しています。
教育内容
卒前教育
リウマチ性疾患は多臓器疾患であり、治療は生涯にわたって続きます。そのため、膠原病リウマチ内科での臨床実習は全身を診ること、患者さんに共感して寄り添う全人的な医療を行うことを医学部生が学ぶまたとない学修機会となります。膠原病リウマチ内科学分野では、診療参加型実習を重視し、医師としての実践力を高めるさまざまな取り組みを行っています。外来での問診・診察・カルテ記載の実習もその一つです。知識の習得のみにとどまらず、臨床推論や病態考察に重点をおいた臨床実習を行っています。
卒後教育
良い膠原病・リウマチ専門医になるには、複数の優れた指導医のもとで臨床経験を積み、論理的な診断とEBMに基づいた治療方針の選択方法を学ぶとともに、自らが生涯学修する方法と習慣を身に付けることが重要です。東京女子医大膠原病リウマチ内科の臨床研修は、まさにこの条件を満たしていますので、ここで研修をすることによって専門医取得に必要な知識と経験を効率よく学ぶことができます。内科専門医は卒後6年目に、膠原病・リウマチ専門医は卒後7年目に最短で取得することが可能です。
専門的な知識の学修機会として、毎週の診療部長回診、病棟長回診、内科症例検討会、当分野のスタッフによる専攻医向けのオンライン教育セミナー、当分野のスタッフが演者となる外部講演会などが挙げられます。また、毎年IORリウマチセミナーと名付けたリウマチ学セミナーを定期的に開催し、外部の医療機関から多くの若手医師が参加しています。
研究内容
当分野では、先端的な基礎医学研究、スケールメリットを生かした臨床医学研究を展開しています。ベッドサイドでの疑問を基礎医学研究で解き明かし、その成果をベッドサイドに還元し、さらに臨床研究として発展させる醍醐味を味わうことができます。また、当分野のスタッフは、多くの公的研究(厚生労働科学研究費、AMED研究費など)の研究代表者・分担者であり、リウマチ性疾患の多施設共同臨床医学研究や診療ガイドラインの作成などに深く関わっていますので、臨床医学研究に携わりたい方にとっては絶好の環境です。
主な研究テーマ
1. 基礎医学研究
・ 関節リウマチの発症分子メカニズムと予防方法に関する研究
・全身性エリテマトーデスの分子病態に関する研究
・ANCA関連血管炎の遺伝子解析による病因・病態解明
・全身性強皮症の分子病態に関する研究
2. 臨床医学研究
・関節リウマチの大規模コホート研究(IORRA)
・関節リウマチの医療経済学的研究
・小児リウマチ性疾患の病態・診断・治療に関する研究
・全身性エリテマトーデスの診断・治療に関する研究
・ANCA関連血管炎の臨床疫学研究、医師主導治験
・強皮症の診断・治療に関する研究
・脊椎関節炎の臨床疫学研究
・ビッグデータ解析によるリウマチ性疾患の薬剤疫学研究
スタッフ紹介
- 臨床教授
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川口 鎮司
- 専門領域
- 膠原病リウマチ
内科
- 准教授
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田中 榮一
- 専門領域
- 膠原病リウマチ
内科
- 寄附部門教授(リウマチ性疾患先進的集学医療寄附研究部門)
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猪狩 勝則
- 専門領域
- リウマチ関節外科
- 寄附部門講師(リウマチ性疾患先進的集学医療寄附研究部門)
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樋口 智昭
- 専門領域
- 膠原病リウマチ内科
大学院
医学研究科内科系専攻膠原病リウマチ内科学分野ホームページ
関節リウマチ、膠原病の治療には多くの分子標的治療薬が使用され、すばらしい治療成績が発表されています。しかし、その病因はいまだ解明途上であり、多くの研究課題が残されています。また、臨床試験によって優れた治療成績が示されたものの、日常診療における有効性・安全性を高めるための知見や、医療経済的な検討は必ずしも十分とは言えません。
当分野の大学院では臨床医学のメリットを生かし、ベッドサイドで生じた疑問を研究室に持ち帰り、リサーチクエスチョンを立ち上げる契機としています。そして、基礎医学研究では実験室のベンチで細胞・分子・遺伝子レベルの解析を行い、臨床医学研究ではデータベースを構築し疫学的・統計学的解析を行って、リサーチクエスチョンに対する答えを探します。