医学部

医療安全科

概要

医療安全科は、平成28年度に開設された新しい診療科です。東京女子医大は平成13年と平成26年に大きな医療事故を経験しており、いずれも特定機能病院の取り消しという厳しい処分を受けています。その反省から、大学病院の中では最も医療安全に力を入れた病院に生まれ変わるべく、新しい診療科として医療安全科を創設し、平成28年7月に教授が着任致しました。医学の研究領域としての「医療安全学」は、平成11年の「横浜市大患者取り違え事件」から始まったといっても過言ではなく、学問としての歴史が非常に浅く専門家が少ないうえに、診療科を設置して教育・研究を行っている大学はごく僅かです。しかし、これからの発展が大いに期待できる分野で、医師だけではなく薬剤師や看護師などの医療職、および医療職以外の例えば人間工学や情報処理などを専門とする方々の活躍が期待されています。医療安全の研究を志す有為な人材を求めていますので、興味や関心のある方は遠慮なくお問い合わせください。

教育内容

医学部学生に対しては、「医療安全」や「医療の質」、および「チーム医療」に関する講義を行っていきます。特に、「チーム医療」の重要な概念である多職種協働による医療の展開については、医療というサービスの持つ特性を踏まえながら分かり易く解説します。また、4年生を対象に臨床実習の一部として、医療現場における医療安全を実践するための危険予知トレーニング(KYT)や、Team STEPPS®などを取り入れた、小グループ単位での実習も行うことにしています。さらに、医看協働教育として、看護学部学生を対象とした「医療安全」に関する講義と実習、および認定看護師課程の学生向けの教育などにも取り組んでいます。

研究内容

医療安全は、「人は誰でも間違える」を前提としてミスを防ぐための具体的な仕組みや手法などのシステムの構築から始まり、失敗から学ぶためのインシデントレポートシステムの導入などの取り組みが行われてきました。それを全国規模で行う制度なども作られるようになり、この20年近くの間に大きく進歩しました。しかし、失敗から学ぶことの限界が指摘されるようになり、またチーム医療の推進が医療安全の観点からも重視されるようになりました。さらに最近では、技量が不十分な外科医による手術死亡率の高いことが問題になるなど、医療安全は今までとは違った局面に立ち向かう必要に迫られています。このように医療安全学は、医療における患者の安全の確保から、医療の質保証に向けた展開が求められており、とりわけ患者に提供された医療の質を反映する適切な指標などの開発が急がれています。現在では、診療情報など電子カルテに蓄積されたデータ分析なども研究の対象になってきており、調査・研究の対象となる領域が多岐にわたるようになってきています。

スタッフ紹介

教授
清水 優子
専門領域
神経免疫学

臨床教授(兼務)
世川 修
専門領域
小児外科学

准教授
松村 剛毅
専門領域
再生医療

講師(兼務)
中島 範宏
専門領域
医療・病院管理学

大学院

医療安全に限らず、医療サービスの質と効率をテーマとした研究は、残念ながら欧米諸国に遅れをとっていますが、国民皆保険を基盤としたわが国の医療提供システムは、国際的には高く評価されています。国レベルで行われている医療事故調査制度やヒヤリハット情報収集事業、さらには公開されているDPCデータなどを活用すれば、海外でも十分通用する研究成果を得ることが出来ると思います。発展途上の研究分野ですが、国内の研究をリードするための体制を構築し、研究論文作成のための指導と支援を行っていきます。

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