人体病理学・病態神経科学分野
概要
病理学(人体病理学・病態神経科学分野)は、臨床医学ならびに人体病理(外科病理・病理解剖)を通して浮かび上がる問題を解決するため、人体材料、実験動物ならびに培養細胞を用いた実験を駆使して、病態解明と治療戦略につながる分子細胞病理学的情報を得るという大きな目標に向かって活動している。このため、M.D.スタッフは全員が病理診断科と兼務しており、外科病理と病理解剖に根差したものの考え方を絶えず養い続けている。つまり、当分野が手掛ける実験病理とは、医療現場にフィードバックすることを意識したトランスレーショナルリサーチおよびこれにつながる基礎研究に位置づけられる。
教育内容
►S2:細胞周期の制御と異常、ニューロンとグリアの相互作用
►S3:病因と病態
►S5:基本的・医学的表現技術、学会発表のやり方
►S6:ニューロンとグリアの細胞病理学、神経変性疾患の病理、神経系感染症の病理、
中枢神経奇形の病理、脳血管障害の病理、脳腫瘍病理各論、運動器の病理、
視覚器の病理、耳鼻咽喉科領域の病理、研究プロジェクト(学会発表体験)
►S8:臨床基礎実習、CPC
►S9:選択科実習
研究内容
►倉田 厚(教授・基幹分野長):動脈硬化性プラークの不安定化における、内膜平滑筋の脱分化の寄与を解明し、心筋梗塞や脳梗塞の予防や治療に役立てることを目標としている。また、多能性幹細胞由来奇形腫の分化誘導により、再生医療に資することを目指している。
►山本智子(准教授):福山型先天性筋ジストロフィー責任遺伝子Fukutinの多機能性について、ニューロンやアストロサイトを中心に、人体材料、実験動物および培養細胞を用いて解析している。
►増井憲太(准教授):悪性脳腫瘍 (膠芽腫) で高頻度に観察されるEGFR-mTOR異常をモデルとして、分子生物学的手法および包括的OMICS解析を用いて、がんにおける代謝活性化の意義を探索している。
►加藤陽一郎(准講師):がんの増殖と進展に関与するオステオポンチンの作用機序を、人体材料(甲状腺がん・乳がん)と培養細胞を用いて解析している。
►新井田素子(非常勤講師):成体脳神経細胞新生メカニズムを、Smad4コンディショナルノックアウトマウスならびに初代培養系を用いて解析している。
スタッフ紹介
- 教授・基幹分野長
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倉田 厚
- 専門領域
- 血管疾患の病理学
奇形腫と再生医療
腫瘍病理学
- 准教授
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増井 憲太
- 専門領域
- 脳腫瘍の分子病理学
神経病理学
実験病理学
- (兼務)准教授(病理診断科)
-
山本智子
- 専門領域
- 病理診断学分野
神経筋疾患
腫瘍病理学
大学院
医学研究科形態学系専攻人体病理学・病態神経科学分野ホームページ
►動脈硬化症と内膜平滑筋分化度の関係性
►多能性幹細胞由来奇形腫の分化誘導
►脳腫瘍の外科病理
►Fukutin遺伝子産物の生理活性
►甲状腺がんの分子病態
►成体脳のニューロジェネシス
►神経変性疾患(特に筋萎縮性側索硬化症)の分子病態
►脳梗塞急性期の分子病態