医学部

顕微解剖学・形態形成学分野

概要

顕微解剖学・形態形成学分野は生体の微細構造・組織形態学を中心としたMicroanatomyと、肉眼的形態学を中心としたMacroanatomyとの分野に二分されます。本分野はMicroanatomy(組織学)と生体の発生過程を学ぶ発生学(developmental biology)を担当しています。組織学・発生学の教育を担当するとともに、全ての組織のoriginとなる幹細胞生物学を中心とした研究を行っております。
組織・発生学では組織・細胞の正常構造を観察・学習するとともに、生体機能の恒常性・optimizationのためにどのような構造がadaptされ、発生過程を経るのかを研究する学問です。組織・発生の正常なプロセスを理解することは、さまざまな疾患の病態解明・治療開発において不可欠な知識です。私たちの分野では微細構造形成に伴うさまざまなbiologyを加味し、静止でとらえられた2D形態はもちろん、3D形態、時間的変化、電子顕微鏡解析など組織・細胞構造を多面的に解析し、構造と機能の複合的理解に努めています。
本分野は現在、彌生記念教育棟にあり、分野内は教授を含め、さまざまな研究テーマに関して、自由に、多面的なdiscussionを活発に行う雰囲気となっています。医学部学生の方、大学院希望・Post-doctorateの方、共同研究に興味がある方、気軽に立ち寄っていただければと思います。

教育内容

組織学講義・実習は組織学の縦糸となる四大組織(上皮、結合、筋、神経)の構造を学ぶ総論と横糸となる各器官の組織構造を学ぶ各論があります。総論は医学部第1学年で学び、各論は以降各学年の臓器別セグメントで学びます。発生学講義・実習は医学部第2学年で学びます。
 
S1 細胞の成り立ち --  Basic structure of cells
S2 組織の成り立ち --  Basic histology
S3 人体発生・比較発生  -- Developmental biology
S4 循環器系、 呼吸器系、 腎尿路系、 生殖器系の組織学各論 
  – Histology of circulatory, respiratory, urinary and reproductive system
S5 消化器系、内分泌系の組織学各論 – Histology of gastrointestinal and endocrine system
S6 脳神経系、聴覚・耳鼻咽喉系、視覚系、皮膚系の組織学各論
  – Histology of nervous system, ear, eye and skin
S7 血液・リンパ系の組織学各論 – Histology of the hematopoietic and lymphatic system
 
本分野はさまざまな臓器と発生段階における組織標本を保管しています。実習では光学顕微鏡を用いた組織切片の観察及びVirtual imageを用いた観察を中心として行います。さらに組織の固定、包埋、染色をはじめ、透過型・走査型電子顕微鏡の観察法、蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡での観察法を学びます。 

研究内容

組織幹細胞は分化成熟した細胞の大本であり、一つの組織システムを再構築することができる細胞です。私たちの分野では組織幹細胞、特に成熟造血細胞の大本となる造血幹細胞に焦点を当て、造血幹細胞がどのように制御されるかを研究しています。造血幹細胞の内因的制御のみならず、骨髄の微細環境(niche)により受ける影響を組織学的方法およびさまざまな機能解析を通し行っております。また、免疫不全マウスへのヒト正常造血幹細胞・骨髄系腫瘍幹細胞の異種移植を用いたトランスレーショナルリサーチにも、力を入れていく予定です。
その他、
カハールの介在細胞の形態学的解析
Foxc2遺伝子欠損マウスにおける器官形成異常の解析
などに関する研究を行っています。

スタッフ紹介

教授・基幹分野長
石津 綾子
専門領域
実験血液学
幹細胞生物学

講師
横溝 智雅
専門領域
造血発生

大学院

医学研究科形態学系専攻顕微解剖学・形態形成学分野ホームページ

顕微解剖学・形態形成学分野として開講しています。
ただし、造血システムをはじめとして、さまざまな組織・細胞における発生・分化過程のBiological processの解明を形態的手法に限定することなく研究を行っています。
主な研究可能テーマとして:
1)造血幹細胞の幹細胞能および静止期性の維持機構:石津教授、望月助教
2)骨髄ニッチによる造血幹細胞維持機構:石津教授
3)造血幹細胞におけるミトコンドリア代謝制御機構:石津教授
4)ファンコニ遺伝子による複製ストレス制御機構の解明:望月助教
5)ヒト細胞を用いた異種移植用免疫不全マウスの改良:中道講師
6)造血器腫瘍幹細胞の動態解明:中道講師
7)消化管ペースメーカー(カハールの介在細胞)の形態と機能:菊田助教
8)心大血管を中心とする器官形成分化と脈管新生におけるFoxc2の役割:森島助教
9)発生過程におけるFoxc2陽性間葉系細胞の運命系譜解析:森島助教

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